研究実績の概要 |
本研究ではInfluenza virusを感染にる肺傷害(ALI/ARDS)および肺の繊維化における細胞間接着因子Claudin分子の役割を検討している。昨年度までの研究で、Claudin分子が急性期における肺上皮-血管内皮細胞の破綻および、炎症細胞集積に関与している可能性を見いた出した。 近年、Apoptosisを起こした細胞や活性化された細胞からExtracellular microvesicle (Microparticles, Exosomes)が放出され、これらが炎症病態に深く関与していることが判っている。これらの細胞は、放出した細胞の表面に発現しているタンパク質を保持しており、Claudinを発現している可能性がある。本研究者はマウスから肺上皮細胞を取り出しIn vitroでInfluenza virus感染させ、Microparticlesを抽出し、同じくマウスから取り出した肺胞マクロファージを刺激したところ、IL-6ならびに好中球遊走因子KCの産生が亢進していた。加えて、肺胞上皮細胞から放出されたMicroparticlesは凝固・線溶系促進因子を保持しALI/ARDSの病態に関与していることから、それらを制御するrecombinant Thrombomodulinをマウスに投与し、Influenza virusを感染させ肺傷害および死亡率への影響を検討したが、肺傷害ならびに死亡率に差を認めることはなかった。 以上より、ALI/ARDSの病態の急性期にClaudin分子が深く関与しているが、繊維化期での関与は少ないと考えられた。
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