メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)はヒトポリオーマウイルスとしては初めての癌ウイルスである。本研究では多様な悪性腫瘍におけるMCPyVの蔓延性を調べた。その中で、脳腫瘍の中でも悪性度の高い膠芽種において得られた知見を述べる。近年、欧米において膠芽腫症例の大部分でヒトサイトメガロウイルス(HCMV)の感染が認められるとの報告があり、病因との関与が指摘された。今回の我々の結果は、MCPyVおよびHCMV感染と膠芽腫との間に因果関係は示されなかった。その一方で、ハイリスク型のヒトパピローマウイルス(HPV)感染が一部の膠芽腫に認められ、HPVが膠芽腫の病態形成に関与する可能性が示唆された。
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