研究課題/領域番号 |
25860831
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
中山 仁志 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70514933)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 抗酸菌 / リポアラビノマンナン / 好中球 / 貪食 / 食胞成熟 / ラクトシルセラミド |
研究概要 |
病原性抗酸菌は、好中球やマクロファージなどの貪食細胞に取り込まれると、食胞とリソソームの融合(食胞成熟)を阻害し、細胞内寄生することが知られている。本研究では、病原性抗酸菌由来分子と貪食細胞に発現するラクトシルセラミド(LacCer)との認識応答機構を明らかにすることで、病原性抗酸菌による細胞内寄生機構を解明することを目指している。そこでまず、抗酸菌由来分子とLacCerとの認識応答機構を明らかにするため、抗酸菌菌体壁成分として知られる結核菌由来マンノースキャップ型リポアラビノマンナン(ManLAM)、非病原性抗酸菌由来ホスファチジルイノシトール型リポアラビノマンナン(PILAM)とLacCerとの結合実験を行った。結合実験の結果、病原性の有無に係らず、LAMはLacCerと特異的に結合することが分かった。次に、ManLAMとPILAMそれぞれで、好中球を刺激した後、Src family kinase Lynのリン酸化を調べたところ、それぞれの刺激で、Lynのリン酸化は同程度起こることが分かった。また、超解像度顕微鏡を用いて、各LAMをコートしたポリスチレンビーズを貪食させたところ、同程度の貪食率であることがわかった。これらの結果から、ヒト好中球による抗酸菌の貪食機構は、LAMとLacCerの結合に依存して行われていることが分かった。一方で、これまでの我々の研究から、病原性抗酸菌が好中球に貪食された後の食胞膜におけるLacCerとSrc family kinase Hckとの会合を阻害することが分かっているので、今後は、『ManLAMがLacCerとHckの会合を阻害するのか』、またその結果、『食胞の成熟阻害が起こるのか』について焦点を絞り研究を進めていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、抗酸菌由来分子とLacCerとの認識応答機構を明らかにし、新規薬剤の標的となり 得る病原性因子及びその受容体を特定することを目的としているが、これまでの研究期間で、既に抗酸菌由来LAMとLacCerとの認識機構ならびにそのシグナル伝達機構を明らかにしているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、病原性抗酸菌による食胞成熟阻害機構に焦点を絞り、LAMが直接、LacCer依存的な食胞成熟に関与するのか、あるいは、食胞成熟を起こすためのシグナル伝達に作用するのかを、超解像度顕微鏡や生化学的手法(食胞を分離する等)を用いて、詳らかにしていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では、siRNAを用いた実験を年度内では遂行できなかった。そのため、左記研究試薬分が当該差額となった。 本年度において、siRNA関連実験を多く行う予定である。そのため、差額分を左記研究関連試薬に使う予定である。
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