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2014 年度 実績報告書

エンテロウイルス71の感染メカニズムの解明 ーPSGL-1受容体を通してー

研究課題

研究課題/領域番号 25860832
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

片岡 周子  国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (10646623)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードウイルス学 / 病原性
研究実績の概要

近年、東アジア地域の小児において死亡例を伴うエンテロウイルス71(EV71)感染症流行が問題になっている。しかし、EV71による病原性発現機構の詳細はまだ分かっていない。我々はEV71特異的受容体としてPSGL-1を同定し(Nishimura et al. 2009)、EV71-PSGL-1結合の分子的基盤の研究を進めている。本研究では、in vivoでのEV71株の感染増殖・病原性発現機構を明らかにすることを目的とし、PSGL-1結合(PB)およびPSGL-1非結合(non-PB)EV71株を用いたカニクイザル感染実験を行なった。
その結果、non-PB接種群のみ振戦などの軽度の神経症状を示し、感染初期の臨床検体から高頻度にウイルスが検出された。PB接種群では明らかな神経症状を示さなかったが、剖検時の中枢神経系組織などからウイルスが検出され、そのほとんどはVP1-145に変異を有していた。両感染群サルの血清中のサイトカイン濃度を測定したところ、non-PB接種群は感染前より高い傾向がみられたが、PB接種群では変動が見られなかった。また中枢神経組織の病理学的解析ではnon-PB接種群全頭とPB接種群のうち中枢神経組織から高頻度にウイルスが検出されたサルにおいて神経細胞の変性・壊死と炎症所見が観察され、その組織病変の程度に明らかな差は見られなかった。
以上の結果からEV71感染動物モデルであるカニクイザルにおいてEV71はVP1-145に強い選択を受けつつPSGL-1非依存的に増殖し、in vivoにおいて変異適応したnon-PBが効率良く増殖し、中枢神経系におけるウイルス増殖と病原性発現に関与することが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Alternative endocytosis pathway for productive entry of hepatitis C virus.2014

    • 著者名/発表者名
      1.)Mami Matsuda, Ryosuke Suzuki, Chikako Kataoka, Koichi Watashi, Hideki Aizaki, Nobuyuki Kato, Yoshiharu Matsuura, Tetsuro Suzuki, Takaji Wakita.
    • 雑誌名

      Journal of General Virology

      巻: 95 ページ: 2658-2667

    • DOI

      10.1099/vir.0.068528-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] エンテロウイルス71のカニクイザルにおける病原性の免疫学的解析2014

    • 著者名/発表者名
      片岡周子、西村順裕、小谷治、鈴木忠樹、岩田奈織子、網康至、永田典代、清水博之
    • 学会等名
      第62回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 会議センター
    • 年月日
      2014-11-10 – 2014-11-12

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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