研究概要 |
まず、マウス動脈ワイヤー傷害モデルを用いて、傷害後血管リモデリングにおいてHMGB1/TLR9経路が重要な役割を果たすことを明らかにし、その結果を論文として公表した。(Hirata, et al. Atherosclerosis. 2013) この論文の結果・方法をもとに、川崎病モデルマウスを用いた実験を開始した。 研究計画書では、LCWE(Lactobacillus casai cell wall extract)を用いた川崎病モデルマウスを使用する予定であったが、当研究室において十分に再現することができなかったため、同じく川崎病モデルマウスとして用いられているCAWS(candida albicans water soluble fraction)を、C57BL/6マウスに投与する系をもちいることとした。この系を用いることで、川崎病類似血管炎を再現性をもって惹起することができた。CAWS投与マウスに対して、HMGB1中和抗体を腹腔内投与したところ、病変の炎症の重症度を有意に低下させることができた。また病変局所での免疫染色を行い、炎症性細胞の細胞質部分にHMGB1が存在していることが明らかとなった。 これらの結果から、川崎病モデルマウスの病変形成にHMGB1が何らかの役割を果たしていることが強く示唆された。今後は、マウスの血中HMGB1濃度および各種サイトカイン濃度を測定し、HMGB1の果たす役割の詳細な検討を行うとともに、TLR欠損マウスを用いた同様の実験を行う予定である。
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