研究課題/領域番号 |
25860846
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
富澤 大輔 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (50401336)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 乳児 / 急性リンパ性白血病 / MLL / 同種造血幹細胞移植 / KIR |
研究概要 |
本研究は、生後12か月未満の乳児期に発症した急性リンパ性白血病(乳児ALL)について、NK細胞抑制性レセプター(KIR)リガンド不一致ドナーからの同種造血幹細胞移植の意義について明らかにすることを目的としている。具体的には、日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)MLL03臨床試験 (2004年~2009年)に登録された63例のMLL遺伝子再構成陽性の乳児ALLを対象に、造血幹細胞移植ドナーおよびレシピエントのHLA-Cローカスについて調べ、かつデータベースより提供を受けた臨床情報を利用して解析を行うものである。 現在、本研究の背景となるMLL03臨床試験全体の治療成績について、すでに論文としてまとめ、Leukemia誌に投稿中である。更に、本研究についても解析を終え、2014年4月28日に行われた第9回小児白血病シンポジウム(チェコ共和国、プラハ)にてポスター発表を行った。63例中23例においてKIRリガンド不一致の有無についてのデータが得られ、5例が不一致、18例が一致していた。5年全生存率は不一致群で100%、一致群で58.3% (95% CI, 31.3 - 77.8%)、5年無イベント生存率が不一致群で80.0% (95% CI, 20.3 - 96.9%)、一致群で 44.4% (95% CI, 21.5 - 96.9%) であった。なお、移植片対宿主病については急性型、慢性型、いずれも両群で発症頻度に差はなかった。症例数が少ないために有意差は得られていないものの、乳児ALLにおいてKIRリガンド不一致移植の有用性を示唆する結果が得られており、本成果についても今後論文化を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析症例数は十分でないものの、現時点で本研究の目的である乳児ALLにおけるKIRリガンド不一致同種造血幹細胞移植の有効性を示す一定のデータが得られており、学会発表や論文化も進めつつある。
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今後の研究の推進方策 |
可能であれば、解析症例数をもう少し増やしたいと考えており、更に検討進めて行く。ただし、複数の他施設の協力を得る必要があり、どこまで症例数を増やすことができるかは未定である。その場合は、現在得られている結果をまとめて論文化する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究費を申請した際には1年間の使用計画として研究費申請を行ったが、が交付決定して使用可能になったのが年度途中(2013年7月)であり、またその時点から実際の解析が行われたために当該助成金が生じた。 今年度は本研究の2年目であり、計画通りの研究費使用を見込んでいる。
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