研究課題/領域番号 |
25860847
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉田 咲子 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (30535183)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遺伝子改変NK細胞療法 / 小児再発、難治性白血病 |
研究概要 |
小児の再発、難治性白血病に対する新規治療方法を開発する目的で研究している。 健常ヒトprimary NK細胞における抗CD19特異的キメラ型受容体の機能をさらに増強させるため、T細胞の共刺激因子であるCD28を同時発現させた第3世代遺伝子改変キメラ受容体を作成しその機能解析を行った。第3世代の遺伝子改変キメラ受容体(anti-CD19-BB-28-ζ)は、健常ヒトprimary NK細胞に発現することを確認した。しかしコントロール細胞と比較して受容体の発現が低い傾向を認めた。CD28を発現させたキメラ型受容体は、受容体発現が低下することが過去に報告されている(Nguyen P, et al. Blood 102:4320,2003)ため、NK細胞でも同様の機序が働く可能性は否定できない。T細胞では発現が低くなるにもかかわらず、機能は向上されていた。そこはNK細胞でも同様であるのかを検討していく必要がある。 予備実験として、第3世代(anti-CD19-BB-28-ζ)受容体を発現した健常ヒトprimary NK細胞の活性化シグナルの増強の有無および、細胞障害活性の変化を解析した。第3世代(anti-CD19-BB-28-ζ)受容体を発現した健常ヒトprimary NK細胞は、コントロールの細胞と比較し、活性化シグナル(IL-2Rα chain CD25)を強く発現し、細胞障害活性も著明に増加した。しかし第1世代受容体を発現したNK細胞との比較では、細胞障害活性は同等か、健常供血者によってはやや劣るというデータもみられた。 今後は、この遺伝子改変NK細胞の前駆B細胞性白血病細胞株に対する細胞障害活性をさらに増強させ、小児再発、難治性白血病の臨床応用につなげていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
期間前半は、臨床医としての仕事に費やす時間が多くを占めており、実験に時間を割くことが困難だったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在作成されているキメラ型受容体より細胞障害活性の強いキメラ型受容体を作成する目的で、現在候補にあげているNK細胞でのadaptor proteinであるDAP10、DAP12、FcRγ、ダブルシグナル受容体で報告のある2B4シグナルを、まずは一つずつシングルシグナルとして受容体を作成し細胞障害活性、サイトカイン産生、アポトーシス抑制の最も高い分子がどれかを検証する。この結果を踏まえてbest receptorを決定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
臨床医療に携わっていることもあり、研究のための時間を作ることが困難だったため。 培養関連の消耗品費(培養液、ウシ血清、抗生物質、培養皿、培養フラスコ、プラスチックピペット)、抗体 、リコンビナントIL-2、細胞分離・遺伝子導入試薬、国際学会への参加など。
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