研究課題
【研究目的】心筋緻密化障害は、胎生初期の心室壁の発達の過程において、スポンジ状の胎児心筋が違残し、心筋緻密層が低形成になると考えられている。そして、著明な肉柱形成のために心内膜面や肉柱間隙からの血液供給が障害され、心内膜下の心筋虚血を引き起こし、心機能低下が起こると仮説されている。しかし、現在までこの仮説は実証されていない。【研究方法】臨床面と基礎研究面の両面から心筋緻密化障害の発症機構の解明するために心筋緻密化障害の臨床像を検討する。心筋緻密化障害患者において胎生期における心筋層の発達・成熟に関わる遺伝子異常の探索を行う。探索された遺伝子異常が心筋の発達・成熟に及ぼす影響を明らかにするために患者iPS細胞由来心筋細胞を作製し機能解析を行った。【研究結果】(ⅰ) 全国調査と臨床像の検討:小児期発症の心筋症の症例に対し、家族性の有無、他の心筋症の有無、致死的不整脈や突然死の有無について検討を行った。(ⅱ) 患者血液サンプルの採取および遺伝子解析:血液検体からDNAを抽出し次世代シーケンサーにて遺伝子異常の有無を検討した。その結果、2家系からサルコメアの2遺伝子異常が明らかとなった。(ⅲ) 患者血液サンプルからiPS細胞の樹立:採取したサンプルからiPS細胞を作成した。iPS細胞を心筋細胞へと分化誘導を行った。【結論】本研究では,NGSにより遺伝子異常が判明した患者の血液細胞から樹立したiPS細胞から心筋細胞を誘導し,さらにiPS細胞由来心筋細胞において関連遺伝子の機能解析を行う計画を立て,網羅的遺伝子解析の施行とiPS細胞由来心筋細胞の樹立ができた.本研究で遂行しきれなかった課題としてiPS細胞由来心筋細胞の分化能評価iPS細胞由来心筋細胞の増殖能およびアポトーシスの評価iPS細胞由来心筋細胞の電気生理学的機能測定が挙げられるが,本研究の継続により近々達成される予定である。
すべて 2015
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巻: 31 ページ: E1-3.
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巻: 0 ページ: 0
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.hrcr.2015.11.008