研究課題
若手研究(B)
目的: 病原体由来分子パターン認識受容体であるToll様受容体(TLR)のシグナル伝達異常は、免疫不全やアレルギー疾患の発症に関与している。本研究では、未だそのリガンドや、シグナル伝達経路が十分に解明されていないヒトTLR10の機能に着目し、プロテオミクス解析を利用してそれらを解明することにより、免疫不全やアレルギー疾患をはじめとするTLR関連疾患の病態解明を目指している。方法: 大腸菌及びほ乳類培養細胞におけるTLRシリーズ、TIR含有アダプター分子群の発現ベクターを構築し、タンパクの発現実験を行う。結果: TLR1、TLR2、MyD88、Malについてはすでにその細胞内TIRドメインタンパクの発現精製系を確立していたが、今年度大腸菌を使用したタンパク発現系によりTLR6, TLR10のTIRドメインの発現及び高純度単離精製に成功した。また、TLR2及びTLR10についてアレルギー疾患との関連が指摘されているR753Q、I755Lバリアント体の作成も行った。考察: TLRシリーズにうちTLR4-TIRは単離精製が極めて困難であるが、TLR6、TLR10については成功した。次年度以降に、それぞれのタンパク間相互作用について検討予定である。
2: おおむね順調に進展している
TLR6, TLR10についてはタンパク精製に成功した。また、ほ乳類細胞におけるTLRシリーズの発現ベクターとして、TLR1, TLR2, TLR6, TLR10を構築した。アレルギー疾患と関連するとされるTLR2のR753Qバリアント、TLR10のI775Lバリアントについても構築が完了している。当初の予定通りの進捗状況である。
次年度以降は、これら精製が完了したTIRドメインタンパクについて、それぞれのタンパク間相互作用を検討し、結合パートナーと考えられる分子(例えばTLR1とTLR2、TLR6とTLR2、TLR10とTLR2等)についてそれぞれの安定複合体精製条件について検討予定である。
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Molecular Immunology
巻: 58 ページ: 66-76
10.1016/j.molimm.2013.11.008.