研究課題
目的: 病原体由来分子パターン認識受容体であるToll様受容体(TLR)のシグナル伝達異常は、免疫不全やアレルギー疾患の発症に関与している。本研究では、ヒトTLR10の機能に着目し、プロテオミクス解析を利用して免疫不全やアレルギー疾患をはじめとするTLR関連疾患の病態解明を目指している。平成25年度までにTLR10を含む種々のTIRドメインタンパク発現系を構築し、タンパク間相互作用実験を行ったが、プルダウン法によってのみそれぞれの弱い相互作用は確認できるものの、安定複合体の作成が困難であることが判明した。そこで方針を転換し、TLRsの細胞外における本来のリガンド認識機構を細胞内、試験管内でミミックする実験系の構築を試みた。方法: それぞれのTIRドメインに強制二量体化させる別のドメインをN末端に付加した融合タンパクのコンストラクトを作成した。大腸菌及びほ乳類培養細胞にてこれら融合タンパクの発現系を構築した。結果: ドメインA付加TLR1-TIRドメインとドメインB付加TLR2-TIRドメインのリコンビナントタンパクの精製に成功した。これらは低分子Cにより強制的に安定二量体化された。さらにドメインA付加TLR1-TIRドメインとドメインB付加TLR2-TIRドメインをHEK293細胞に発現させ、低分子Cを添加することにより転写因子NF-κB活性の上昇が確認された。考察: TIRドメインの相互作用について、細胞内で本来のTLRsのリガンド認識をミミックする実験系が細胞内、試験管内で構築できた。TLR10についてもそれぞれのTIRドメインタンパクについて構築を試み、相互作用分子を決定する予定である。また変位導入体(TLR2のR753Qバリアント、TLR10のI775L)についても検討する。
2: おおむね順調に進展している
TIRドメイン安定複合体タンパクの構築が困難であったが、強制的に安定二量体化するドメインの融合によりこの問題が解決した。本年度はTLR10についてこの実験系を使用して解明を目指す予定である。結果として当初の予定通りの進捗状況であると考えている。
TLR10についてもそれぞれのTIRドメインタンパクについて構築を試み、相互作用分子を決定する予定である。また変位導入体(TLR2のR753Qバリアント、TLR10のI775L)についても検討する。
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