研究実績の概要 |
ヒト尿細管培養細胞に志賀毒素(ST-1,2)を投与し、濃度・時間によるCell Viabilityの測定をトリパンブルー染色にて行った。その結果ST-1,2ともにおおむね10*-7μg/ml周辺の濃度で24時間incubateすることで適量の細胞死が起こることを確認した。この濃度はこれまでに報告されているヒト培養細胞(血管内皮細胞や神経細胞)においてST投与にて起こる細胞死の濃度と同等であり妥当であると考えられた。 次にヒト尿細管培養細胞における志賀毒素投与にて生じる細胞死に対するアポトーシス関与の有無を調べるためにTUNEL染色を行った。同濃度においてほとんどの細胞でTUNEL陽性となり、定性的にアポトーシスの関与が考えられた。さらにAnnexinⅤ染色を定量的に行う事の出来る機器(Tali assay)を使用しアポトーシスの関与を定量的に行った。おおむね30-40%程度の細胞死にアポトーシスが関与しており、過去の他の細胞の報告よりもやや低めであるが定量的にも関与が示唆される結果となった。 次に本研究の肝であるアポトーシス関連蛋白におけるmRNAでのRealtime qPCRをarrayで行うarrayPCRを行った。関連蛋白mRNAの一部に有意な上昇を認めたものの、特定のアポトーシスの経路に関連した因子の規則性を見出すことができなかった。 また計画書通り一部のサイトカイン測定をELISAによって行ったものの測定した各種サイトカインに有意な上昇は見られなかった。以上よりこれらのassay系ではHUSとアポトーシスやサイトカインとの関連を示すことは困難であることが予想された。
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