研究課題/領域番号 |
25860863
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
高橋 知男 島根大学, 医学部, 医科医員 (10624934)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脂肪酸代謝異常症 / レスベラトロール / ベザフィブラート / in viro probe assay / β酸化 / CPT2欠損症 / VLCAD欠損症 |
研究概要 |
炭水化物からのエネルギー供給が低下した時、代替エネルギーとしてβ酸化を経てエネルギーが得られる。脂肪酸代謝異常症があると、このような時にエネルギー産生不全に陥る。 脂肪酸代謝異常症であるCPT2欠損症とVLCAD欠損症は、これまで治療には食事療法やカルニチンなど対症的な治療法しかなかった。最近、両疾患のヒト線維芽細胞にベザフィブレート(BEZ)を添加すると、β酸化障害が改善することを申請者のグループは報告した。また、2011年にJ.Bastinらがヒト線維芽細胞を用いた酵素活性の研究で、レスベラトロール(RVL)がsairtuin-1遺伝子を活性化させ、ヒストンの脱アセチル化によって遺伝子の保護作用がはたらき、β酸化が改善することを報告した。 しかし、これまでCPT2欠損症、VLCAD欠損症について、同一の細胞に対し、同一の手技でBEZとRVLの効果の差が比較されたことはない。本研究では、その影響の差をIVP assayの立場から検討し、治療薬への臨床応用に展開するための基礎的研究を行う。 BEZはクロフィブラート系の高脂血症薬であるが、RVLは自然界のポリフェノールである。RVLが実用的なことが証明できれば、より安全な治療法が確立される可能性がある。 2014年から全国でタンデムマスマススクリーニングが開始され、その対象疾患であるVLCAD欠損症、CPT2欠損症は、今後発見される症例数の増加が予想される。これらの疾患は予防可能な疾患であり、新しい治療の研究が進むことで、多くの患者が恩恵を受けることが期待される。また、それぞれの薬剤の特徴を捉えることで、より適切な治療をすすめることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CPT2欠損症、VLCAD欠損症はin vitro probe assayでC16の上昇、すなわち長鎖脂肪酸代謝障害があり、RVLの投与によってC16が減少することを期待していた。 しかし、過去の文献の血中濃度のRVLでin vitro probe asasyを行うと、いずれの細胞でもC16の更なる上昇がみられた。また濃度を変えてさらに実験を行ったが、濃度依存性にC16が上昇、すなわちRVLの投与により長鎖脂肪酸障害さらに悪化する、という結果になった。
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今後の研究の推進方策 |
in vitro probe assayでは血中濃度とRVLの濃度が適している可能性もある。今後さらに様々な濃度を試して、C16の変化を見る。 またどの濃度でも改善が認められなければ、その原因となる機序について、リアルタイムPCRなどで発現を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の達成目標に必要な物品を上記金額で購入できたため。 来年度はin vitro probe assayに加え、PCR等にも予算を使用する。
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