研究課題/領域番号 |
25860865
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
八代 将登 岡山大学, 大学病院, 助教 (80585943)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 小児感染症学 / インフルエンザ / 酸化ストレス |
研究概要 |
1,インフルエンザ肺炎モデルマウスの各臓器別TRX mRNA、TBP-2 mRNAの発現量と病理学的所見を比較した 。 (1)C57/BL6マウスにインフルエンザウイルスA/Puerto Rico/8/34株(1000PFU)の経鼻接種を行い、感染前および感染後1・3・5日後にマウスを解剖し、脳・肺・肝臓・腎臓・脾臓を採取した。各臓器をH.E.染色にて病理学的評価を行った。インフルエンザ感染マウスの肺では、感染3日目以降に気管支周囲に炎症細胞浸潤を認めた。脳・肝臓・腎臓・脾臓では、H.E.染色では変化を認めなかった。 (2)各臓器中のTRX mRNA・TBP-2 mRNA発現量の変化を検討した。感染前ではTRX,TBP2共に肺での発現が最も多く、脳での発現量は低値であった。TRXとTBP2は肺と脾臓では感染3日目では発現が増加した。脳と肝臓では感染後に発現が低下した。腎臓ではTRXは感染後に発現が増加したが、TBP2は発現が低下した。TRXとTBP2は脳・肺・脾臓・肝臓での感染後の発現に相関を示したが、腎臓では逆相関を示した。 2,代謝異常型インフルエンザ脳症(Reye症候群様)モデルマウスを確立し、野生型マウスと比較した。 (1)TBP2KOマウスに1と同様にインフルエンザ感染を行い、野生型マウスとの生存率・臨床症状ともに相違を確認した。生存率に有意差は認めなかった。野生型マウスは呼吸器症状が増悪し肺炎を来たし死亡したのに対し、TBP2KOマウスでは呼吸器症状およびH.E.染色での肺炎像が軽微であった。TBP2KOマウスでは著明な脂肪肝を認めた。 (2)感染後1・3・5日後のマウス血清中のサイトカインを測定した。野生型では感染3日目にTNFαとCXCL1の上昇を認めたが、TBP2KOマウスでは上昇を認めなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インフルエンザ肺炎モデルマウスの各臓器別TRX mRNA、TBP-2 mRNAの発現量と病理学的所見を比較した 。代謝異常型インフルエンザ脳症(Reye症候群様)モデルマウスを用いた実験では、髄液採取が困難であったため髄液中サイトカイン評価が未施行である。
|
今後の研究の推進方策 |
TBP2KOマウスはインフルエンザ感染にて死亡したが肺炎像は軽微であった。肺炎とは異なる死因が考えられる。これまでの結果から中枢神経障害や肝障害が疑われる。死因を解明するため、血清・髄液・脳組織を採取し、血清・髄液中のサイトカイン・ケモカイン測定および脳組織の病理学的評価を行う予定である。さらに静注したエバンスブルー色素の脳内への漏出の程度から血液脳関門機能評価を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験に用いた試薬が予定より安く購入できたため、かつ、商品・機器の納期が遅れたため未使用額が生じた。 計画通りに実験を推進する。
|