研究概要 |
先行研究による末梢血単核球のマイクロアレイ解析では、壊死性リンパ節炎(HNL)患者において137遺伝子で2倍以上の発現上昇が見られた。上位5遺伝子(IFI44L, CXCL10, GBP1, EPSTI1, IFI27)についてHNL患者群24例、疾患コントロール群93例、健常コントロール群34例において、末梢血単核球よりRNAを分離し、定量PCRにより遺伝子発現を解析した。5遺伝子は正常対照と比べ著明な発現上昇がみられた。また、これらの5遺伝子の発現レベルは各遺伝子間で正の相関を認められ(r2=0.28-0.60)、インターフェロンによる共通の発現上昇が示唆された。ただし、疾患特異的な上昇ではなく、ウイルス感染や全身性エリテマトーデスでも上昇を認めた。 HNL患者リンパ節でも上位5遺伝子について定量PCRによる解析を行い、同様に遺伝子発現が上昇していた。血清のCXCL10の解析では、HNL例では回復期に比べ急性期に上昇が見られたが、疾患特異性は認めなかった。 遺伝子発現profileを用いてHNLの非侵襲的迅速診断法を確立することを目的とし、対数変換した5遺伝子の末梢血単核球における発現量を用いて正準判別分析を行った。対照を3群に分けて判別したところ、84.2%の正確性をもって判別しえた。HNLのAUCは0.975であったり、診断に有用であると考えられた。 また、末梢血単核球でリンパ節と同様遺伝子発現上昇がみられることは、本疾患が局所のリンパ節のみならず、全身性の自己炎症性疾患であることを示唆する所見であると考えられた。 本研究の概要をJournal of clinical immunology誌(査読あり)に投稿し、publicationされた。
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