研究課題
若手研究(B)
24 時間ホルター心電図を用いて、小児神経筋疾患患者における心拍変動の特性を見出し、心合併症の治療評価指標を見出すことが本研究での目的である。平成25年度は19例の小児神経筋疾患患者(デュシェンヌ型筋ジストロフィー、先天性ミオパチー、先天性筋ジストロフィー)で解析を行った。そのうち、15歳以上の患者のデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者5例(15歳3例と17歳2例)で比較検討を行った。15歳の1例で進行が早く夜間の非侵襲的人工呼吸器療法を要した。他の4例は非侵襲的人工呼吸器療法を必要としなかった。既に施行されていた24時間ホルター心電図を用いて、総1日の平均心拍数、SDNN、pNN50、r-MSSD、Deceleration capacity of heart rate(DC)、心拍変動スペクトル分析、Heart rate turbulence(HRT)を解析し、進行の早い1例とその他4例で比較検討した。1日の平均総心拍数は進行の早い例16.3万:その他4例12.7±0.8万(中央値±SD)、SDNNは65.5:115.4±19.6、pNN50は0.5:16.3±10.6、r-MSSDは23.9:45.7±13.4、DCは5:8.2±1.8であった。心拍変動スペクトル分析とHRTは明らかな違いを認めなかった。進行の早い例では1日の平均総心拍数が高く、SDNN、pNN50、r-MSSD、DCが低い傾向にあった。これらの傾向は心筋梗塞における生命予後予測と類似する。今後、さらに多くの症例を解析することにより、心拍変動解析を用いた予後予測ができる可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
19例の患者における24時間ホルター心電図を用いて、Hayanoのコンピューター解析ソフトで順調に解析を行えている。平成25年度は同一疾患で年齢も限ったため例数が少ないが、候補となる予後予測因子を見出せることができた。一方で、研究協力施設での研究を開始することができなかった。
研究協力施設を募り解析症例数を増やしていく。また、同一症例内で心拍変動解析結果の経時的な変化と治療や臨床症状の関連性を検討していく。
協力施設で使用する心電図計やパーソナルコンピューターなどの物品費を計上していたが、平成25年度は協力施設での研究を開始できなかったため、購入しなかった。平成26年度は協力施設での研究が始まりデータ収集と解析を行う予定であり、心電図計やパーソナルコンピューターなどの物品費が必要となる。
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