研究課題/領域番号 |
25860879
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
浜 武継 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00508020)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ARPKD / 多発性嚢胞腎 / 線維化 / fibrocyte / CPKマウス |
研究実績の概要 |
骨髄由来を示すCD45抗原、および、線維芽細胞が有するcollagen type I抗原、それぞれ共に有する細胞を骨髄で確認できたが腎臓で確認できないため、抗体をいろいろ試した。その結果、線維芽細胞の抗体としてProcollagen type Iがうまく働き、腎臓の凍結切片で、CD45とProcollagen type Iの二重染色を示すfibrocyteと思われる細胞をCPKマウスでのみ同定できた。ただしその数は非常に少なく、flow cytometryによる評価が望ましいと思われた。 flow cytometryを行う上で課題であったsingle cell suspensionのプロトコールは確立することができ、腎組織からのsingle cell suspensionは作成できた。マウスから得られる血液量が少ないことに対して、毛細管を利用した新しい採取法を確立し、flow cytometryを行う上で最小限の量を確保することに成功した。flow cytometryの結果、骨髄由来抗原CD45、線維芽細胞の抗原collagen type I、ケモカインCD184それぞれを有するfibrocyteは、cpkマウスで増加の傾向を示した。 線維化の比較として、CPKマウスおよびSDマウスからRNAを抽出し、Real Time PCRでcollagen type Iを比較した。その結果、cpkマウスで有意にcollagen type Iが上昇していることが確認できた。 今後、染色とflow cytometryを重ね、有意差が出るか検討する必要がある。また、fibrocyteがCPKマウスで動員されているリガンドの同定に取り組む必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題であったsingle cell suspensionの確立、及び、fibrocyte同定に有効である抗体が同定されたため。ただし、CPKマウスとSDマウスとの間で、fibrocyteの動員数に有意差があるのか検討するには、染色やflow cytometryをさらに重ねる必要があると思われる。また、fibrocyteの動員に関わるリガンドの同定が今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
fibrocyteは骨髄由来抗原、線維芽細胞が有するcollagen以外にも各種ケモカインなど多くの受容体を有している。そのうち、CPKマウスで上昇しているリガンドを同定することは困難が伴うものと思われる。また、リガンドが同定できた場合、flow cytometryで用いる抗体を、その同定できたリガンドに対する受容体に変更して比較しなおしたほうが望ましいと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
各種試薬の不足が生じ、購入する必要性が生じる可能性があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
既に複数の試薬は入手済みであるが、今後、追加実験が必要な状況である。その上で、不足が生じた試薬が生じた場合に購入し、実験を継続する。
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