• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

シナプス形成・機能に関連する新たな自閉症候補遺伝子群の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25860881
研究種目

若手研究(B)

研究機関自治医科大学

研究代表者

宮内 彰彦  自治医科大学, 医学部, 助教 (50570397)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード生殖発達医学分野 / 成育医学
研究概要

自閉性障害 (ASD) および共通する分子基盤を持つ知的障害(ID)患者においてaCGH (array comparative genomic hybridization) 解析を行い、候補遺伝子を同定し機能解析に着手した。
① ASD患者におけるCNV解析:患者末梢血リンパ球からDNAを抽出しHuman Genome CGH Microarray 4×180K (Agilent technologies) を用いた。ASD例で4/49例 (8.1%)で病因と考えられるCNVを検出し、足場蛋白であるSHANK3の欠失、LIN7Bの重複が含まれていた。
②CNVに局在する遺伝子の変異解析:ASD166例に対し候補遺伝子の変異解析を行った。LIN7Bのシークエンス解析で1例でExon5のドナーサイトの変異 (c. 602+1G>C) を検出した。Reverse Transcriptase PCRでcoding領域を解析したところExon 4からExon 6に連結し、Exon 6がフレームシフトしているバンドを検出した。Exon 5の欠失部位はPDZ domainの約1/3の欠失に相当していた。LIN7はPDZ domainを有し、シナプス機能、細胞接着、細胞極性に関与する。変異解析で得られたc. 602+1G>C変異では、PDZ domainの約1/3が欠失し、PDZ domainを介したGRIN2B (glutamate receptor, ionotropic, N-methyl-D-aspartate subunit 2B)の結合が障害されている可能性がある。LIN7はシナプス後膜でGRIN2Bとともに神経伝達物質の補充調節をしていると考えられ、GRIN2Bを介する神経伝達物質の調節障害によりシナプス機能障害からASDを発症している事が推定される。今後更に解析継続予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、aCGH解析を行った結果、ASD例で4/49例 (8.1%)で病因と考えられるCNVを検出している。また、知的障害患者でもaCGH解析を行い、未報告の病因と考えられる遺伝子を同定している。aCGHは、順調に勧められて、多くの患者で病因変異が同定され、病因遺伝子候補も検出されている。
aCGHを用いた患者の病因遺伝子同定研究の達成度は良好である。
aCGHで病因候補遺伝子として検出されたLIN7Bの変異解析で塩基置換が検出され、また、神経形成に関与する解析結果も得られて来ている。他の候補遺伝子に関しても、機能解析を開始しており、ほぼ順調に進行している。
全体的に、25年度に目標とした解析の達成はできている。

今後の研究の推進方策

①候補遺伝子の機能解析および変異による作用の解析:培養細胞・培養神経細胞に対し、Lin-7BおよびCTNNA3について、iRNA等で抑制、あるいは遺伝子導入等により過剰発現させ、蛋白欠損、あるいは発現増加による、細胞、神経突起の形態的変化、細胞接着への影響、等を確認する。CTNNA3は一部のエクソンのみの欠失であり、この様な遺伝子は該当エクソンを欠失させたcDNAを作製、導入し変化を解析する。また、マウス子宮内遺伝子導入技術などによる胎児神経系での遺伝子発現抑制による機能•形態変化観察により、神経発達への関与を解析する。
② CNV解析 26年度以降も、新たな患者検体に対し、CNV解析を行う。患者DNAを抽出し、Agilent社CGHアレイ(180Kx4)とhybridizationし、スキャナーで解析、CNV領域を同定する。また検出されたCNVに局在する遺伝子の変異解析を行う。26年度には、30例程度の解析を目的とする。
③その他の候補遺伝子の変異解析:複数の遺伝子が欠失/重複している患者で、シナプス機能関連遺伝子に変異が検出されなかった場合、CNV領域の他の遺伝子で、候補遺伝子と考えられる遺伝子に対して、他の患者での変異の有無を同様に解析する。

次年度の研究費の使用計画

次年度に新たな患者検体に対し、CNV解析を行うため。
患者DNAを抽出し、Agilent社CGHアレイ(180Kx4)とhybridizationし、スキャナーで解析、CNV領域を同定する。また検出されたCNVに局在する遺伝子の変異解析を行う。26年度には、30例程度の解析を目的とする。

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi