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2014 年度 実施状況報告書

ポドサイトの分化と機能維持を制御する新規エピジェネティック分子NSD3の役割

研究課題

研究課題/領域番号 25860882
研究機関杏林大学

研究代表者

倉山 亮太  杏林大学, 医学部, 特任講師 (90529223)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードエピジェネティックス / 糸球体 / ポドサイト
研究実績の概要

平成26年度はゼブラフィッシュを用いたNSD3の機能発現について検討した。

1)方法: NSD3のATG部位、エクソン1-3’側、エクソン3-5’側の翻訳を特異的に阻害するmorpholino antisense oligonucleotide(MO)を作成し各ノックダウンゼブラフィッシュを樹立した。受精4日後の変異体の出現率について、コントロールMOと比較した。エクソン1と3の変異については、NSD3の正常mRNAの共注入も行った。NSD3の蛋白発現とネフリンmRNAをwhole bodyを材料にWestern blotとRT-PCRで検討した。変異体の糸球体の形態変化を、PAS染色と電顕により観察した。FITC-dextranを用いた糸球体濾過アッセイにより糸球体濾過障壁の異常の有無を観察した。
2)結果:各変異体のcDNAの塩基配列の解析とWestern blotにより、MOによる各エクソンの変異の誘導とNSD3蛋白の合成阻害を確認した。浮腫などの変形率は、コントロール5.3%、ATG部位が89.9%、エクソン1が59.2%、エクソン3が65.5%であり、正常mRNAの共注入によりエクソン1と3の変形率は21.9%と23.6%に各々軽減した。各変異体の糸球体はいずれも矮小化が著明であり、電顕では著明な足突起形成とスリット膜の形成障害が観察された。また、各変異体のネフリンmRNAの有意な減少がみられ、FITC-dextranの尿細管への漏れが観察されたことから、糸球体濾過障壁の破綻が明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

C57BLマウスをバックグラウンドとしたノックアウトマウスを誕生させた。目的としたNSD3のエキソン5は確かに欠失し、エキソン4以降のストップコドンが確認されたことから、DNA上での遺伝子破壊は成功したと考えた。しかし、本ノックアウトマウスは、正常に誕生し、生後5週現在、外表、成長に著変なく、タンパク尿も惹起されていない。
しかし、ゼブラフィッシュを用いた結果との整合性の説明が、科学的には強く要求されると考える。これを解決せずには、本研究の達成度は高くないと考える。

今後の研究の推進方策

NSD3ノックアウトマウスに蛋白尿を惹起させる負荷をかけることで、NSD3の糸球体上皮における存在の意義を確かなものにする。
具体的には、牛血清アルブミンを腹腔内注射、アドリアマイシン静注という、従来から採用されている蛋白尿惹起物質を、ノックアウトおよび野生型に負荷し、蛋白尿の有無、腎形態の比較を行う。
さらに、野生型に上記の蛋白尿惹起物質を負荷し、正常のNSD3の発現を比較することで、環境の変化による糸球体ポドサイト内のNSD3の振る舞いを検討する。

次年度使用額が生じた理由

ゼブラフィッシュに関する実験についての材料費が、予想より安価であったため。
さらに、ゼブラフィッシュ特異的NSD3についての抗体が、すでに作成していた抗マウスNSD3抗体で代用できたため、新たに取得する必要がなかったため。

次年度使用額の使用計画

本年度は、最終年度であり、後天的NSD3異常のモデルを、多くのマウスを用いて検討することから、マウス購入および飼育に助成金を使用する。

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公開日: 2016-06-01  

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