研究課題
若手研究(B)
本研究は近年注目されている炎症性サイトカインIL33 について、その受容体であるIL1RL1(ST2)に関する研究である。我々これまではマスト細胞や好塩基球におけるヒトST2 遺伝子の発現制御機構として、そのプロモーターに関連する転写調節因子の複雑な作用を見出してきたが、アレルギー疾患におけるST2受容体の発現機構や制御機構ははっきりとしていない点も多く、特に小児アレルギー疾患とST2受容体との関与は明らかになっていない。本研究では小児の気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、炎症性腸疾患などの検体モデルを用いて、小児アレルギー疾患とST2受容体やIL33、その他のTh2分化サイトカインがどのように関与しているかを解明することを目的とし、また末梢血細胞や組織細胞内でのST2 発現との関連や、疾患と遺伝子多型の相関を統計学的な解析、遺伝子機能に及ぼす作用の解明を目的としている。本年度では検査に同意を得た小児アレルギー疾患患児の血液検体を用いて血清からIL33やその受容体であるST2の発現をELISA法にて測定し、またそのほかアレルギー発症に関与する102種類のサイトカインやケモカインの相対的な発現レベルを解析しており、小児アレルギー疾患とST2発現の関与の証明や、アレルギー発症機構を解明する過程で食物アレルギーや腸管粘膜における粘膜免疫にも注目し、その重要な因子として分泌型IgAもあわせて解析をすすめており有意な結果が得られている。またその結果を国内や国外の専門学術会議で報告を行った。
2: おおむね順調に進展している
小児の気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、炎症性腸疾患などの小児アレルギー疾患におけるST2の関与を解明するために、研究の説明と同意を得た患児らの臨床検体の採取を行った。順天堂大学小児科で管理している血清・遺伝子検体に加え新規患者より血清や便検体を採取し検討に加えた。IL33はTh2型免疫応答を引き起こす炎症性サイトカインであるが、IL1グループに属するIL33は、本来核内に局在し組織損傷に伴い免疫応答を増強するalaminとして機能するとも考えられている。粘膜免疫における抗原侵入にも十分な関与があり、その作用機序の解明のために関連分子の解析も加えて検討しており有意な結果が得られている。
IL33受容体ST2は細胞特異的発現プロフィールを示し、特にマスト細胞や好塩基球に強く発現しているが、特に小児のアレルギー・免疫疾患での発現機序は不明でありこれまでの解析結果や実験結果をふまえ、検討結果で得られている各分子との関連を疾患モデルや疾患患児らの血清、粘膜、便検体などの検体を用いて細胞表面および細胞内でのST2を中心とした解析計画を進めている。また本大学・附属病院・大学関連施設での疾患検体採取を継続して行い研究対象数を増やし研究の感度や再現性を研磨する方針である。
当該年度では、患者検体の採取とそれらに対しての各種分子解析を中心にを行った。これまで継続していた研究の継続であったこともあり新規の試薬の購入や物品費も削減することができた。本年度では予定している更なる関連分子の解析のため新規試薬の購入や、拡張して新規実験を行う計画もありそれらに使用する方針である。また研究結果発表のための国際学会も控えておりそれらの出張費用に使用する計画である。
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Journal of Immunology
巻: 192 ページ: 3936-46
10.4049/jimmunol.1302366