研究課題
小児アレルギー疾患においてのIL-33や、その受容体であるST2について、その関与を検討した。研究についての説明と同意を得た患者の臨床経過やその血清や組織からELISA法を関連する分子を測定した。GWAS解析でもST2 が多くのアレルギー疾患の原因遺伝子として見出され、アレルギー病態と強く関わることが示唆されているが、その発現制御機構はほとんどはっきりしていない。本年度は、2016年7月から12月まで当院で施行した経口食物負荷試験患者178例、気管支喘息発作入院患者42例、川崎病患者34例を対象にST2の関与を検討した。食物アレルギー患者ではIL-33の上昇を認めたが、微量の耐用量でも症状を呈する症例では著名なST2の上昇を認めていた。また、乳児期はじめて喘鳴発作を呈した児で、のちに喘鳴を繰り返し気管支喘息の診断を受ける症例は初回発作の段階でST2が上昇していることを確認した。川崎病患者ではIL-33とST2が上昇するという報告が散見されるが、我々の結果では上昇している症例とそうでない症例に分類され、それらの背景に何が関与しているのかさらに考察していく必要があると考えている。これらの研究成果から、IL-33がアレルギー疾患や特に成人気管支喘息などで上昇することは既知の事実であったが、食物アレルギーや乳児喘息においてもIL-33を介した免疫応答を呈し、ST2発現制御に関与することは、アレルギー疾患制御においてIL-33の関与を解明する重要な点であり興味深い結果と考える。特に乳児喘息におけるST2の上昇は、将来のIgEを介した喘鳴発症にかかわっているかもしれないと考えられ、気管支喘息発症の新たなバイオマーカーになりうると考えられた。
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J Allergy Clin Immunol.
巻: 139 ページ: AB264
http://dx.doi.org/10.1016/j.jaci.2016.12.853
アレルギーの臨床
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