研究課題
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)は肥満症における重篤な合併症であり、小児期に早期発見することは有意義である。われわれはNAFLD診断における早期のバイオマーカーとして肝の線維化マーカーでもあるTissue inhibitor of matrix metalloproteinase-1(TIMP-1)の有用性を検討した。血中のTIMP-1レベルはNAFLD群で非NAFLD群と比較して有意に上昇し、NAFLDの診断においてALTと同様の有用性があることを明らかにすることができた。また、肝線維化のスコアリングシステムであるPNFIとの強い関連性があり、小児においても肝生検を考慮するバイオマーカーとなり得る可能性が示唆された。北九州市の幼稚園28施設、保育園28施設の4~6歳児3825人を対象に、自記式調査票で調査を行った。データ欠損者を除く2909名(男児1471名、平均年齢 5.16歳)の解析を行い118人(4.1%)が肥満と判断され、その内訳は軽度肥満71人(2.4%)、中等度肥満 38人(1.3%)、高度肥満 9人(0.3%)であった。肥満及び非肥満群にわけて検討すると、保育園児、母親のBMI 25以上、母親の妊娠中の体重増加20kg以上、人工乳栄養、テレビやゲームの遊び、テレビ視聴2時間以上、朝食欠食、野菜摂取1日1回以下、おやつの時間が不定期、食事をあまり噛まない、母親の勤務、平均睡眠時間10時間未満の頻度が肥満群において有意に高かったが、出生体重、食事の代わりに菓子パンを食べる、では有意な差は認めなかった。出生体重と乳幼児肥満の発症との関連性は明らかにできなかったが、母親のBMIや妊娠中の体重増加などの周産期に関連する因子が乳幼児の体重増加に影響を与えていた。
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ホルモンと臨床
巻: 61 ページ: 23-26
Early Human Development
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10.1016/j.earlhumdev