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2013 年度 実施状況報告書

精神遅滞・広汎性発達障害における病因既知遺伝子の網羅的解析および機能検証

研究課題

研究課題/領域番号 25860896
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

和賀 央子  独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第二部, 科研費研究員 (80462795)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード精神遅滞 / 遺伝子解析
研究概要

精神遅滞および自閉症を含めた広汎性発達障害は双生児研究により遺伝的要因が大きく関与し、原因遺伝子もこれまでに400以上報告されている。これまでのキャピラリーシークエンサーを用いた遺伝子解析では、その検査する遺伝子の数の多さから原因遺伝子の特定に至らない患者も多く存在し、その結果、精神遅滞・広汎性発達障害の病態理解に必要な基礎データの蓄積に至っていないのが現状である。そこで本研究では日本における精神遅滞および広汎性発達障害病因の特定のため、約500家系の精神遅滞患者のバイオリソースを用いて、これまでに報告された既知病因遺伝子をイルミナ社Miseq次世代シークエンサーにより網羅的に解析を行い、患者の原因遺伝子の特定を行った。
平成25年度では日本バイオベース株式会社が提供するHuman Gene Mutation Database を利用し、過去に精神遅滞との関連を報告した論文を基に解析を行う遺伝子を選定した。その結果、申請時に精神遅滞・広汎性発達障害合わせて約400遺伝子存在した疾患関連遺伝子は、広汎性発達障害のみにおいて、その報告数が5.6倍に増えており(143遺伝子から796遺伝子)精神遅滞関連遺伝子と合わせた解析が困難であると判断した。そのため精神遅滞に特化した681遺伝子を新たに選定し直し、16家系16人の精神遅滞患者でMiseq次世代シークエンサーによる遺伝子解析を実施した。シークエンスデータの解析にはBWA- GATK-ANNOVARを用い、日本人における変異検出頻度が0.1%以下を抽出した後、サンガーシークエンスによる家族のゲノム解析を現在行っている。16家系の現在までの解析の結果、4家系で(25%)で疾患の原因と考えられる有力な遺伝子変異を検出している(de novoによるフレームシフト変異、ナンセンス変異など)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

平成25年度では国立精神・神経医療研究センターが保有する精神遅滞・広汎性発達障害バイオリソースレポジトリーの約500家系の中から、①これまで原因遺伝子が特定されていない②バイオリソースの家系情報から疾患が遺伝的原因の可能性高いと考えられる患者③家系内で両親を含む複数のゲノムDNAが保存されている家系の患者を優先的に選び次世代シークエンサーを用いてその関連遺伝子の網羅的な解析行った。解析を行う精神遅滞・広汎性発達障害関連遺伝子の選定の段階において、広汎性発達障害関連遺伝子が申請時の5.6倍に増加していた(143遺伝子から796遺伝子)。そのため精神遅滞に特化し、再度、解析する681遺伝子の選定を行ったため、解析を始める時期に遅れが生じ、研究計画の目標解析人数を終了することができなかった。
さらに平成25年度においては申請者の研究機関の移動が決定し、移動準備、その他手続き等のため申請課題の研究を遂行するにあたり遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

平成25年度のシークエンスデータをもとに引き続き家族のゲノム解析を行い、原因と疑わしい有力遺伝子変異を追及していく。ゲノム解析に関しては、平成25年度に在籍していた国立精神・神経医療研究センターにおいて解析を行う。
そして平成26年度においては主に解析の結果検出された変異が精神遅滞の病因となりうるか否かをマウス胎児脳や初代神経培養細胞へ患者より検出された遺伝子変異を導入するなどの生化学的・分子生物学的そして組織学的な手法を用いて解析する実験計の構築、そして検証を行う。
その結果、原因が特定できなかった患者に関してはwhole exome sequenceによる解析を行うこととなり、原因が特定された患者については臨床情報を整理することで、疾患原因の早期診断のための情報を提供する。また、これらの結果について学会、論文等で成果の発表を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度において解析を行う精神遅滞・広汎性発達障害関連遺伝子の選定の段階において、広汎性発達障害関連遺伝子が申請時の5.6倍に増加していたことにより、精神遅滞に特化し、再度、解析する681遺伝子の選定を行った。 そのため解析を始める時期に遅れが生じたこと、また申請者の研究機関の移動が決定し、移動準備、その他手続き等のため申請課題の研究を遂行するにあたり遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。
平成26年度より研究機関の移動が決定したため、実験を潤滑に遂行するために、これまで前所属使用してきた器具や、試薬そして消耗品などをそろえるために使用する。また、ゲノム解析を行うにあたり前所属研究機関への旅費にも使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Identification of two novel Shank3 transcripts in the developing mouse neocortex.2014

    • 著者名/発表者名
      Waga C, Asano H, Sanagi T, Suzuki E, Nakamura Y, Tsuchiya A, Itoh M, Goto Y, Kohsaka S, Uchino S.
    • 雑誌名

      J Neurochem.

      巻: 128 ページ: 280-293

    • 査読あり
  • [学会発表] X連鎖性精神遅滞患者における関連遺伝子解析.2013

    • 著者名/発表者名
      和賀央子,竹下絵里,中川栄二,後藤雄一
    • 学会等名
      Neuro2013(第35回日本神経科学大会、第56回神経化学大会、第23回日本神経回路学会大会合同年会)
    • 発表場所
      京都 国立国際会議場
    • 年月日
      20130620-20130623

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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