研究課題
本研究では、エピ変異によるPrader-Willi syndrome症候群(PWS)症例の分子遺伝学的解析を通じ、エピ変異陽性PWS患者に特異的なメチル化パターンを明らかとし、PWSにおけるエピ変異発症機序を解明することを目的として分子遺伝学的解析を行い、以下のような成果を得た。①PWS症候群患者241名を対象とした分子遺伝学的解析により、エピ変異症例を4症例同定した。また、責任領域内のメチル化可変領域(DMR)のメチル化状態がPWSと鏡像関係にあるAngelman症候群(AS)においても、エピ変異5症例を同定した。②両親祖父母の検体入手が可能であったエピ変異PWS3家系に対しマイクロサテライト解析により、全患者で父方祖母由来染色体にエピ変異が生じていた。この結果から、エピ変異PWS患者では、患者父親の配偶子形成過程において本来消去されるべき父方祖母由来染色体上のメチル化が消去されなかった結果、子でエピ変異が発症した可能性が推測される。③エピ変異(PWS4例、AS5例)に対し、網羅的メチル化解析を施行し、全ゲノム中50か所のDMRのメチル化状態を評価した。疾患責任領域内のDMRにおいては、PWS症例で高メチル化、AS症例で低メチル化を示していた。また、責任領域以外でメチル化異常を示したDMRは同定されず、エピ変異症例におけるメチル化異常は15番染色体上の疾患責任領域内に限局していた。この結果から、疾患責任領域内DMRのメチル化確立維持には、他染色体上のDMRにおけるメチル化確立維持機構と独立したメカニズムが存在する可能性が示唆された。④エピ変異症例に対し、DNAメチル化異常の原因となりえる遺伝子(KHDC3L, ZFP57, NLRP2, NLRP7, KAP1)の変異解析をSanger法により行ったが、変異は同定されなかった。
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