研究課題/領域番号 |
25860905
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
大石 彰 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80402337)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 性分化異常 / 環境化学物質 / DOHaD |
研究概要 |
平成25年度は、以下の項目を行った。 1正常新生児の外性器の状態を評価を行った。本項目は、帝王切開症例のみに限定せず、浜松医科大学にて出生した男児新生児に関して、可能な限り外性器の評価および肛門性器間距離の測定と記録を行った。肛門性器間距離は胎内での抗男性ホルモン作用の指標として重要である。平成25年間にて160症例のデータ集積が可能となった。 2予定帝王切開にて出生するケースのリクルート状況は、若干の進行の遅延がある。現時点で25症例のリクルート状況である。方法としては、浜松医科大学医学部付属病院において妊娠が判明した妊婦ならびに出生した児を対象とし、インフォームドコンセントを取得した後、母体の尿・臍帯血・胎盤をサンプリングする計画であるが、インフォームドコンセントを取得するタイミングの不一致、児の胎内での状態の変化による予定帝王切開のスケジュールの変更、研究参加への同意の取得困難、などの理由により、リクルート数としては不十分である状況である。 3母体尿の環境ホルモンレベルの測定は、取得した検体に関しては解析を進めている。すでに研究協力者(国立環境研究所 曽根秀子先生)における確立したアッセイ系を使用するため、問題ない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サンプル採取の進捗がやや遅れている。サンプルは母体尿、臍帯血、胎盤である。対象は浜松医科大学産婦人科にて予定帝王切開にて出産する妊婦および出生した新生児。平成25年度で25名のリクルートあり。遅延している理由として、1研究への参加同意を取得するために、対象妊婦に研究概要を説明することが必須であるが、研究概要説明担当医師のスケジュールと妊婦健診のスケジュールとの不一致があり、すべての対象妊婦をリクルート出来なかったこと 2児の胎内での状態の変化により、予定帝王切開のスケジュールが変更になったケースがあったこと 3研究参加に同意いただけないケースがあったこと、が上げられる。新生児の表現系として重要である肛門性器間距離に関しては、すべての出生新生児(帝王切開によらない)に関してデータ取得できたため、今後の乳児健診によるフォローアップによるデータを加えて解析が可能である。
|
今後の研究の推進方策 |
1リクルート数を増やす工夫をする。研究参加同意取得説明を積極的に行う。院内でのポスターなどにおける周知を徹底し、対象妊婦の理解を得られるように努力する。 2すでに採取しているサンプルの解析に着手する。外性器異常と関連するエストロゲン受容体遺伝子、アンドロゲン産生経路関連遺伝子、ダイオキシン代謝関連遺伝子の遺伝子多型やハプロタイプの解析を行う。 3胎盤におけるインスリン様成長因子タイプ2(Insuline-like growth factor 2;IGF2)に代表されるインプリンティング遺伝子群が、胎児の成長の制御に強く関与していることが知られている。これらの遺伝子のインプリリンティング制御機構であるdifferentially methylated regions (DMRs)のメチル化係数を算出する。さらに胎盤を用いてインプリンティング遺伝子発現量を定量PCRで解析する。 4すでに得られている肛門性器間距離につき、解析し、日本人男児の標準曲線と比較再考する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
リクルート数が予定より少なかったため、次年度使用額が生じた。 次年度以降は十分な数のリクルート症例を確保することを行い、また解析項目に関して、順次進めていく。 母体尿における環境化学物質レベルの測定、胎盤の遺伝子解析、臍帯血を使用したハプロタイプ解析を進めていく。
|