研究課題
本研究課題の最終目標は、胎児発育遅延(fetal growth restriction, FGR)児に見られる中枢障害軽減の糸口を見出すことである。これまで我々は、妊娠17日目に開腹し子宮動脈を40分間クランプした後、クランプを解除して閉腹し妊娠を継続させ、妊娠22日目に通常経膣分娩に至る方法でFGRモデルラットを作製し、行動学的に評価を行った。作製したモデルでは、出生体重がFGR群 4.78±0.18g、コントロール群 5.30±0.11gで有意差を認め(p<0.05)、オープンフィールド等で行動異常を認めた。今年度は、アメロイドコンストリクターを用いより病態に近いFGRモデルを作製した。アメロイドコンストリクターは金属製のリング内部にドーナツ状のガゼインコアのある閉鎖具であり、血管周囲に装着後、体液を徐々に吸収し、ガゼインコアが膨張することで中心の穴が狭小化し緩徐に血管を閉塞させる。一時的な虚血・再灌流よりも慢性的な血流制限を起こし、子宮内発育遅延により近い形のモデルと言える。今回、中心孔内径が0.35mmと0.4mmの2サイズで行ったところ、0.35mmでは、胎児死亡率が高く、虚血が強すぎると考えられた。0.4mmのアメロイドコンストリクターでは、死亡率が低く、日齢4での体重が6.89±0.76gであり、従来のモデルよりも低い体重を実現できた。今後は、新しく開発されたFGRモデルラットの病理学的、行動学的検討が必要と考えられる。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
Pediatr Surg Int.
巻: in press ページ: in press
10.1007/s00383-015-3765-1. Epub 2015 Aug 18.
周産期医学
巻: 3 ページ: 340-342