研究課題
本研究課題の最終目標は、ある種の炎症性サイトカインの受容体に対する抗体である抗Aレセプター抗体を用い周産期HIEに対する新規治療法を開発することである。今年度は、受傷後の急性期評価をより詳細に行った。また、受傷24時間後にタンパクを抽出し、ウエスタンブロット法でStat-3、Akt、MapKのリン酸化に関して調べた。受傷24時間後に脳を摘出し、5μmのパラフィン切片を250μm毎に作製した。抗Actuive-caspase-3抗体を用い免疫組織染色を行い、 Caspase-3陽性細胞(アポトーシス細胞)を評価した。陽性細胞は海馬に限局していたため、海馬全体のCaspase-3 陽性細胞をカウントした。Caspase-3 陽性細胞数は、PBS投与群で563±103個/海馬に対し、抗Aレセプター抗体投与群では、315±45個/海馬であり、抗Aレセプター抗体を投与することにより陽性細胞を44%減少させた(p<0.05)。現在、酸化ストレスマーカーである4HNEの陽性細胞数を同様な方法で評価している。ウエスタンブロット法による評価では、Stat-3、Akt、MapK、またそれぞれのリン酸化されたタンパク(p-Stat-3、p-Akt、p-MapK)を評価した。PBSを投与した群と抗Aレセプター抗体群でそれぞれのバンドを比較したが、両群間で差を認めず、抗Aレセプター抗体投与はこれらのシグナル伝達には影響しないことが示された。
すべて 2015
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J Perinatol.
巻: 35 ページ: 965-9
10.1038/jp.2015.112