| 研究課題/領域番号 |
25860909
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| 研究機関 | 滋賀医科大学 |
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研究代表者 |
澤井 ちひろ 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (30599824)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 神経発達障害 / DOHaD仮説 / マウス / リトドリン塩酸塩 / 発生神経毒性試験 / 行動解析 / 免疫組織化学 / モノアミン解析 |
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| 研究実績の概要 |
【目的】発達障害の成因は、神経形態、神経伝達物質分泌や受容体制御等に関する遺伝的素因に加え、周産期の低酸素や感染、早産低出生、化学物質暴露など子宮内環境による発症への関与が注目され始めている。とりわけ医薬品は催奇形性試験を含めた厳密な安全性試験を経るものの脳の発達や行動への影響には不明な点が多い。発達障害は症状診断からなるスペクトラム概念であり、ヒト対象試験では究明に限界がある。本研究では実験動物へ、ヒト妊娠中に汎用される薬剤を投与し、産仔の神経心理学的な発達特性と脳内生理の解明を目的とする。今年度は子宮収縮抑制剤および抗うつ剤投与マウス母体作成と産仔の行動解析を進めた。
【方法】１）交配成立後雌連続投与区：リトドリン塩酸塩常用量-高用量（100,500mg/kg経口投与、以下いずれも体重あたり）2群、２）抗うつ剤投与陽性対照区：フルボキサミンマレイン酸塩100mg/kg経口投与、３）対照区は同量の生食水を用いた。産仔の6，9，12週齢にオープンフィールド試験、13週齢に強制水泳試験を行った。
【結果】１）出生仔の総移動距離は、各群とも週齢が増すごとに減少した。２）リトドリン高用量群で、雄は9週齢、雌は6週齢での中央滞在時間が減少し、不安の高さを示唆した。常用量群における差異は認めなかった。３）抗うつ剤投与群では性差を認め、9週齢の雄は中央滞在時間の増加が顕著で、不安の低さを示したが、6週齢、9週齢の雌では中央滞在時間の減少を認め、不安の高さを示す逆説的な結果であった。４）雄への強制水泳試験では、抗うつ剤投与群に不動時間の高まる抑うつ傾向、リトドリン高用量群で不動時間の短縮傾向を示したが、各群に統計学的有意差は認めなかった。
【結語】子宮収縮抑制剤投与群では、マウス6週齢、9週齢での不安の高さを示唆した。胎生期の母体薬剤投与が産仔若齢期の行動に影響する可能性を示唆した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の予備試験では、実験動物への負担が最小限となるよう考慮した上で、成獣モデルへの投与法および投与量の調節を行ったが、胎生期の薬剤投与モデル作成に長期間を要した。
今年度は、交配成立雌マウスに経口投与にて薬剤投与を行った。常用量投与群では安定した産仔の娩出が可能であったが、高用量では産仔の体重増加不良、死亡、奇形例を認めた。交配後、行動試験に至るまでに4か月要し、安定した産仔の確保が困難であったため、達成度の遅れを認めた
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度の本試験において、各群の行動試験に有意差が認められた群の脳検体は採取済であり、前頭前野皮質、脳梁、海馬の形態学的比較および免疫組織学的解析を行う。
今後は、産仔の神経心理学的な発達特性と脳内生理の解明のため、産仔の性差や週齢を念頭において、行動解析の再現確認および脳内モノアミン系の動態の検討を進める予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、薬剤投与モデルの作成および行動解析を行った。安定したモデル作成までに長期間を要し、免疫組織化学的染色を施行できていないため、物品費に次年度使用額が生じた。また旅費および謝金が発生しなかったため、次年度使用額が生じた。
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| 次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、引き続き薬剤投与モデルを安定して作成するための薬剤や動物の購入費に充てる予定である。また神経病理学的検索を進めるため、解析用の備品の購入を行う予定である。
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