本研究では、神経発達障害の成因を探索するため、ヒト妊娠中に汎用される薬剤を用いて、産仔の神経心理学的な発達特性と免疫組織学的検討を行った。母体マウスに子宮収縮抑制剤(β2刺激薬)リトドリンと抗うつ剤を投与し、産仔にオープンフィールド試験、強制水泳試験を施行した。摘出脳の前頭前野と海馬中心に、脳由来神経栄養因子とミクログリアの免疫染色を行った。子宮収縮抑制剤投与群では、行動試験にて不安の高さを示唆し、胎生期の母体薬剤投与が産仔若齢期の行動に影響する可能性を示唆した。形態学的には、大脳皮質の層構造異常や限局的な萎縮は明らかではなく、ミクログリアの局所定量分析では、有意な変化は確認できなかった。
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