研究課題
高知大学では、新規治療法として『小児脳性麻痺に対する自己臍帯血幹細胞輸血による治療研究』が進められている。本研究は、9.4T 1H-MRS(プロトン核磁気共鳴スペクトロスコピー)を用いて新生仔脳虚血再還灌流障害モデルマウスに対する臍帯血移植の神経再生メカニズムを明らかにすることを目的とした。まず、生後9日目のNOD/SCIDマウスを用い、脳性麻痺モデルとして「新生仔脳虚血再灌流障害モデルマウス」を作製した。脳障害から1週間後、MRIによるT2強調画像において大脳皮質から線条体にかけて顕著な虚血性病変を認めた。1H-MRS測定では、正常マウスの脳にてN-アセチルアスパラギン酸、クレアチン、コリンのピーク及び、神経幹細胞のピークと想定される1.28ppmのピークが観測された。次に、モデルマウスの脳傷害側に関心領域を設定し1H-MRS測定を行ったところ、正常マウスでは見られない乳酸ピークを認め、N-アセチルアスパラギン酸ピークの顕著な低下が観測された。Rota-rodテストによる行動学的評価スコアとN-アセチルアスパラギン酸ピーク値の間には相関性があることが明らかとなった。臍帯血幹細胞をモデルマウスに移植すると、移植24時間、3週間後の時点で脾臓、肝臓、肺、脳の各臓器で移植細胞が検出された。臍帯血移植群では、PBSを投与したコントロール群に比べて運動機能の改善傾向を示したが、有意差は認められなかった。移植細胞の種類、投与方法、経路、タイミングなど様々な点で更なる検討が必要であると考えられる。本研究の結果より、プロトン核磁気共鳴スペクトロスコピーは、新生仔脳虚血再還灌流障害モデルマウスにおいて非侵襲的に脳の代謝物質を観測するのに有用であることが示唆された。
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PLoS One
巻: 10 ページ: e0127302
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10.3109/14767058.2014.935327
http://www.kochi-ms.ac.jp/~cbsct/about.html
http://www.kochi-ms.ac.jp/~ucbrm/