早産児・低出生体重児の重症な合併症の一つである気管支肺異形成は、肺の未熟性と感染や炎症が病因として考えられている。しかしながら、肺の局所や血液中の炎症細胞である好中球やマクロファージが、肺組織を破壊し病態の進行に関わる分子機序は十分に解明されていない。本研究では蛋白分解酵素と自然免疫応答に関連すると考えられるNeutrophil gelatinase-associated lipocalin(NGAL)やその他サイトカインと気管支肺異形成との関連について検討した。 九州大学病院総合周産期母子医療センターに入院した合計86名の極低出生新生児について解析したところ、気管支肺異形成の発症と出生時の血清中NGAL濃度に有意な関連を認め、出生時の血清NGAL濃度により気管支肺異形成の発症が予測できる可能性が示唆された。さらに、肺コンピューター断層撮影を用いた気管支肺異形成重症度スコアシステム(論文発表済み)を用いて、気管支肺異形成の重症度と血清サイトカイン値(マイクロビーズ法で測定)を検討したところ、単変量解析で重症度と日齢14と28の好中球数とCRP、重回帰解析で重症度と日齢0の好中球数、日齢14のIL-8が有意な関連を認めた。
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