研究課題/領域番号 |
25860917
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
古川 ひろみ 岩手医科大学, 医学部, 助教 (10633068)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 夜間膀胱内留置カテーテル / 逆止弁 / 細菌培養 / 残尿 |
研究実績の概要 |
【目的】夜間膀胱内留置カテーテルに逆止弁を取り付け,体外から尿や便・膣分泌物等の逆流による膀胱の汚染がないかの安全性の確認を行う. 【方法】①メスのウサギに夜間膀胱内留置カテーテルを挿入する.ウサギにはオムツを装着しカテーテルの先端はオムツ内に開放にする.挿入時の尿と,12時間後にカテーテルを抜去した際のカテーテル先端及び尿の細菌培養を施行し,汚染の有無を確認する.また,カテーテル抜去時には残尿量とオムツの重量を確認する.②メスウサギ1検体に対し,カテーテルに逆止弁を取り付けていないもの(A)と取り付けたもの(B)それぞれ挿入し,①について検討し比較する. 【結果】それぞれ6検体のメスウサギで検討した.カテーテル挿入時の尿(前尿)で細菌が検出されなかったものはAの4検体とBの6検体であった。このうち,カテーテル挿入後の尿(後尿)とカテーテル先端からも細菌が検出されなかったのはA,Bそれぞれ1検体のみであった.また後尿でのみ細菌が検出されたものはAで2検体,Bで1検体,カテーテル先端でのみ細菌が検出されたのはBの2検体,カテーテルと後尿の二つで細菌が検出されたのはAで1検体,Bで2検体であった.カテーテル挿入時の尿(前尿)から細菌が検出されたのはAの2検体で,これらはカテーテル先端や後尿からも細菌が検出された.A,Bそれぞれのカテーテルを使用した際の尿量は,Aが30~50 ml(中央値 53.3 ml),Bが10~150 ml(中央値 48.3 ml)で有意差はなかった.また残尿はAが0~5 ml(中央値 1.2 ml),Bが0~75 ml(中央値 21.7 ml)で有意差はなかった.しかし,残尿に関しては逆止弁を取り付けたBにおいて多い傾向であった.(Wilcoxon signed-rank test, p < 0.05)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では平成25年度までに今回の研究が終えられることとしていたため、若干遅れがある。今後は臨床応用し膀胱機能を定期的に評価していく予定で、平成27年度内に研究を終えられる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究結果では,膀胱内の圧を低圧にするには,夜間膀胱内カテーテルに逆止弁を取り付けたものの方が,逆止弁のないものよりも時間を要する傾向にあった(有意差は出ていない).また今回の研究結果より,夜間膀胱内カテーテルに逆止弁を取り付けた場合と逆止弁を取り付けていない場合とでは,有意差はないものの,逆止弁のあるカテーテルの方が残尿が多い傾向にあった.このため,臨床応用するあたり,逆止弁を取り付けていないカテーテルを用いてその有用性や安全性を調査する. 対象は当科でCIC管理を行っている二分脊椎症に合併する神経因性膀胱患者(乳幼児)のうち,家庭の事情で必要回数のCICを行えていない,またはCIC施行の継続が困難な児,②必要な回数のCICを行っているものの,膀胱機能が悪化する症例,尿路感染を繰り返す症例,上部尿路障害を認める症例として、夜間膀胱内留置カテーテルの導入を行う. 具体的には逆止弁のない夜間膀胱内留置カテーテルを就眠時に膀胱内に挿入し,対側をオムツ内に開放し,朝の起床時にカテーテルを抜去する.有効性と安全性の評価として ①夜間膀胱内カテーテル留置を導入以前に,家庭でのCIC状況や患者家族の負担の程度や尿路感染などの合併症の頻度を調査する.またVCUGとUDSに加え超音波検査・腎機能検査を初期評価として行う.夜間膀胱内留置カテーテルの細菌培養を行う. ②夜間膀胱内カテーテル留置導入後6か月の時点で,家庭でのCIC状況や患者家族の負担の程度,尿路感染などの合併症頻度を調査する.VCUGとUDSに加え超音波検査・腎機能検査を導入後評価として行う.夜間膀胱内留置カテーテルの細菌培養を行う.以後6か月ごとに評価を継続する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究がやや遅れているため、次の段階で使用する予定であった物品請求などをまだ行っていないことが原因。また成果発表もまだ行っていないため、これらにより次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
カテーテルの臨床応用に伴い、必要な物品の請求や成果発表で使用する予定
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