研究実績の概要 |
1方法:①ブタの膀胱の尿管から膀胱内圧測定用カテーテル,尿道から留置用カテーテルを挿入した.生理食塩水で膀胱内圧を20cmH2Oまで上昇させた後,留置用カテーテルから排泄させ,逆止弁装着・未装着の場合で膀胱内圧が5cmH2Oに低下するまでの時間,又は20分間膀胱内圧を記録した.②メスウサギに留置用カテーテルを挿入し12時間後に抜去した.留置前後の尿と膀胱内のカテーテル先端の細菌培養を施行した.残尿量と12時間の尿量を測定し,逆止弁装着・未装着の場合で比較した.結果:①6検体のブタで検討した.逆止弁の有無で膀胱内圧,終了時間に有意差はなかった.②6検体のメスウサギで検討した.細菌培養は留置前後の尿,カテーテルで有意差はなかった.残尿,12時間の尿量も有意差はなかった.まとめ:①逆止弁の有無に関わらず膀胱内は低圧のまま尿排泄が可能であった.②逆止弁未装着でも尿路感染(UTI)のリスクを高めることはなかった.逆止弁の有無で残尿,12時間の尿量に有意差はなく,同じ状況下で検討できた. 2方法:間欠導尿管理中の二分脊椎症患児でUTIの発症を認めた症例に対し,就寝前に留置用カテーテルを挿入し体外遠位端をオムツに開放するNBE(nocturnal bladder emptying)法を導入し,UTIや膀胱機能の変化を調査した.また10時間後にカテーテルを抜去し,残尿と膀胱内のカテーテル先端,日中のカテーテル尿を細菌培養に提出した.結果:症例は6例(平均5歳4か月)であった.NBE導入後,UTIの発症頻度は減少し,膀胱尿管逆流が2例,高圧排尿が2例で改善した.残尿,カテーテルから3例で細菌が2+以上検出された.まとめ:留置用カテーテルは膀胱内を低圧化させ膀胱機能の増悪を防ぐ.二分脊椎症患者の8割で無症候性の検尿異常を認める報告があり,残尿の細菌がすべて感染のリスクとはなり得ないと考えられた.
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