複雑に捻転・蛇行する臍帯血管の形状モデルを構築し,それらの形状的特徴が内部の血流に及ぼす影響をコンピュータシミュレーションにより調査した.これにより,捻転度によっては,ある部位の血流波形が必ずしもその上流側の,すなわち,臍帯動脈では胎児からの,臍帯静脈では胎盤からの血流波形の情報をそのまま反映しているとは限らないことが分かった.さらに,蛇行を模擬した場合には断面の円周方向のみならず流路の軸方向にも有意な流体力学量の変化があり,より局在的な分布が引き起こされることが確認された.また,これらのシミュレーションの実施を通して,臨床における胎児状態評価を支援するシミュレータのプロトタイプを構築できた.
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