研究概要 |
慢性膿皮症の一部は、家族性に発症することが知られており、それを家族性慢性膿皮症と呼ぶ。最近、一部の家族性慢性膿皮症患者がγセクレターゼ遺伝子により本症を発症することが明らかになった。しかしながら、患者の大部分では遺伝子変異が同定できず、本症の病因は未だ未解明な点が多く残されている。従って、本研究は、γセクレターゼ遺伝子変異以外の病因遺伝子を同定することを目指すものである。 まず、平成25年度は慢性膿皮症患者からのDNA採取を精力的に行い、新たに5名以上からDNAを得ることができた。これらの患者について、γセクレターゼを構成する6つの遺伝子群(NCSTN, PSEN1, PSEN2, PSENEN, APH1A, APH1B)の変異の有無を確認した。これまで、ナンセンス変異やフレームシフト変異、スプライスサイト変異が病原変異として知られているが、結果、1名もこれらの変異を保有していなかった。また、最近、NCSTNのミスセンス変異が本症の発症に関わることが報告されたが、今回の解析では、1名も保有していなかった。 現在、これらの患者の検体を次世代シーケンスで解析中であり、新規病因遺伝子の同定を目指す予定である。候補遺伝子が同定された場合、その遺伝子変異を患者全員について解析し、非罹患者は有していないが、罹患者のみが有している変異を同定する。その後、一般コントロールの検体をスクリーニングし、病原性を評価する予定である。
|