研究課題
家族性慢性膿皮症は、頭頸部、腋窩、臀部、外陰部などに、慢性再発性に細菌感染による炎症性病変を繰り返す、比較的稀な常染色体優性遺伝性疾患であるが、最近、本疾患がγセクレターゼ遺伝子変異により発症することが明らかになった。申請者も先行研究において本症の日本人家系について遺伝子解析を行い、本邦で初めて同遺伝子変異を同定することに成功した。しかし我々のデータでは、興味深いことに、γセクレターゼ遺伝子に変異を持たない症例も少なくなく、本研究では本症の病態の全容解明を目指すことにした。まず我々は、家族性慢性膿皮症の新規家系からDNAを収集し、γセクレターゼ遺伝子解析を行ったところ、NCSTN遺伝子に新規変異を同定することに成功した(患者はヘテロ接合性に変異を保有していた)。その変異は、早期終止コドンを生じる変異であり、機能喪失性変異であると考えられた。興味深いことに、その家系内では、同じ変異を持つにも関わらず、症状を発症している者としていない者がいた。これまでの報告では、NCSTN遺伝子に機能喪失変異を持つ患者全員が本症を発症していたため、浸透率が高い疾患と考えられていたが、これらの研究成果により、本症の発症には、遺伝的要因以外にも生活習慣等の環境因子が関与すること強く示唆された。これまでも非家族性の慢性膿皮症の発症に喫煙や肥満が関与している可能性が示唆されていたが、家族性慢性膿皮症においても、環境因子が重要な発症因子であることが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件)
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