研究課題
申請者らは過去にケラチン6c(K6c)遺伝子異常が限局性およびびまん性の過角化を呈する掌蹠角化症の原因となりうることを報告した(Akasaka E et al. Br J Dermatol. 2011; 165: 1290-2)。本研究の目的は、K6c遺伝子異常に伴う掌蹠角化症の症例を蓄積し表現型や他の掌蹠角化症との差異について検討することにより、掌蹠角化症の病態解明と新規治療法確立を目指すことであった。まずケラチン6c遺伝子変異検索をおこなった。胼胝・鶏眼が多発している患者、および原因遺伝子が同定されていない掌蹠角化症患者を対象とした。新たに8家系についてK6c遺伝子変異検索を行なったが、変異は同定されなかった。K6c遺伝子変異による掌蹠角化症は、自験例を含め世界で5家系報告されている。遺伝子型はp.Asn172del2家系、p.Ile462_Glu470が1家系、そしてp.Glu472Lys2家系であった。臨床像はいずれも類似しており、足底に限局性の過角化がみられ痛みを伴っていた。手掌の過角化および爪甲変形は全くない、もしくはあっても軽微であった。それ以外の外胚葉異常はみられなかった。このような臨床像はK6a、K6b、K16、K17の遺伝子変異で起こる先天性爪甲厚硬症とは異なり、K6c変異による掌蹠角化症に特徴的な所見と考えられた。遺伝子型-表現型相関はみられなかった。これらの結果よりK6c遺伝子変異による掌蹠角化症の疾患概念はある程度確立されたと考える。次にケラチン6cの発現、機能についての検討した。培養細胞をもちいてケラチン6cの発現、局在、機能について検討する予定であったが、Kuboらが同様の検討を行い報告しているため、申請者らは検討を行わなかった(Kubo A. et al. J Dermatol. 2013; 40 553-7)。今後、掌蹠角化症モデルマウスの作成、siRNAをもちいた掌蹠角化症の遺伝子治療について、引き続き検討を行いたい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)
Eur J Dermatol
巻: 未定 ページ: 印刷中
10.1684/ejd.2014.2499
J Dermatol Sci.
10.1016/j.jdermsci.2015.02.004.
J Dermatol
巻: 41 ページ: 863-864
10.1111/1346-8138.12597.