研究概要 |
皮膚腫瘍細胞での酸化ストレス関連因子発現の検討:皮膚上皮性悪性腫瘍における酸化ストレスの影響を見るために、皮膚上皮性癌におけるNrf2、Keap1 とNrf2 応答分子NQO1 とHO1 の発現を免疫組織学的に検討した。研究目的の項目に一部の結果を掲載した様に、各分子に適した免疫染色方法を検討し、それぞれの抗原に対する最適な免疫染色方法を決定した。この方法で、20 例ほどの皮膚上皮性腫瘍(扁平上皮癌、基底細胞癌など)におけるNrf2, Keap1、NQO1 とHO1 の発現を免疫組織学的に検討した。角化傾向の見られる細胞集塊においては、小型の基底細胞様集塊と比較して、Nrf2, Keap1、NQO1の発現量に違いが確認された。この発現量の違いの生物学的意義を検証するために以下の検討も行った。 酸化ストレス関連因子の強発現系・発現抑制系における細胞増殖・細胞死の検証;表皮角化細胞株であるHaCat 細胞に酸化ストレス関連因子の誘導様式を検討した。ヒト角化細胞を分化誘導させると、Nrf2, Keap1、NQO1の発現量に変動が確認された。この変動はHaCat細胞でも確認できたが、その変動程度はヒト角化細胞に比較すると若干減弱している印象であった。酸化ストレス因子の導入により、細胞の初期増殖は抑制されたが、後期の増殖は促進した。これらの結果は、酸化ストレス系統シグナルであるNrf2、Keap1 とNrf2 応答分子NQO1 とHO1 が、腫瘍細胞の動態に関与していることを示唆した。
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