研究実績の概要 |
平成25年度には、イミキモド外用乾癬様皮膚炎モデルを用い、アディポネクチン遺伝子欠損マウスにおいて野生型マウスに比して、肉眼的、組織学的に乾癬様皮膚炎の増悪がみられることを確認した。さらに、皮膚炎を生じている皮膚のmRNAの発現についてreal-time PCR法により検討したところ、アディポネクチン遺伝子欠損マウスにおいて、TNF-alpha, IL-6, IL-12p40, IL-23p19, IL-17A, IL-17F, IL-22などの乾癬の病態形成に関与するサイトカインの発現が有意に上昇していた。平成26年度には皮膚炎を生じている皮膚に浸潤している細胞およびIL-17の産生について細胞内フローサイトメトリー解析を行った。皮膚炎を生じている皮膚ではアディポネクチン遺伝子欠損マウスにおいてCD3陽性細胞およびIL-17陽性細胞がより多くみられ、両マウスにおいて、IL-17を産生している細胞の85-90%はgdT細胞であった。皮膚におけるgdT細胞にはVg4陽性gdT細胞およびVg5陽性gdT細胞があることが知られており、表皮および真皮に浸潤しているgdT細胞がVg5陽性およびVg4陽性であることをRT-PCR法を用いて確認した。次に、細胞内フローサイトメトリー解析を行ったところ、乾癬様皮膚炎が生じている皮膚において、IL-17を産生している細胞はVg4陽性gdT細胞であった。これらのことから乾癬様皮膚炎モデルにおけるIL-17の産生細胞は真皮内のVg4陽性gdT細胞であり、アディポネクチンの欠損により、これらの細胞浸潤およびIL-17産生の増加がみられることが示唆された。さらにアディポネクチン遺伝子欠損マウスにおいてはアディポネクチンの腹腔内投与により、 皮膚炎の改善が見られた。これらの結果からアディポネクチンが乾癬の病態形成に寄与していることが示唆された。
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