研究課題/領域番号 |
25860938
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
吉久 陽子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 研究員 (70623578)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | MIF / eotaxin / 好酸球 |
研究概要 |
花粉皮膚炎は,花粉症に伴い皮膚の痒みを訴える疾患であり,眼窩周囲や頬部の露出部に皮膚炎を認める.マクロファージ遊走阻止因子(macrophage migration inhibitory factor:MIF)は多彩な生物学的作用を有する炎症性サイトカインの一つである.本研究では,花粉によるアレルギー性結膜炎と,それに伴う眼窩周囲炎(花粉皮膚炎)の発症機序へのMIFの関与について検討した. MIF過剰発現(Tg),MIF欠損(KO)および野生型(WT)マウスに,ブタクサおよびスギ花粉特異的アレルギー性結膜炎と眼窩周囲皮膚炎を誘発させ,発症モデルマウスを作製した.MIF Tgマウスにおいて,花粉刺激は結膜および眼窩周囲皮膚への好酸球浸潤を亢進した.また,ブタクサ花粉刺激によるMIF,eotaxin,IL-4,IL-5,IL-13の発現は,WTに比べてMIF Tgマウスで顕著に増加した.一方,IFN-γの発現は,すべてのマウスにおいて変化を認めなかった.また,マウス皮膚線維芽細胞へのMIFの添加は,eotaxinの発現上昇を誘導した.さらに,MIFとIL-4またはMIFとIL-13の共刺激は,線維芽細胞からのeotaxin 発現を相加的に亢進した.このときCD74siRNA導入を行うと,MIFによるeotaxin発現誘導およびMIFとIL-4またはIL-13の共刺激によるeotaxin発現誘導は減少した.以上の結果から,MIFの全身性の過剰発現は,花粉皮膚炎において局所的にTh2型サイトカインの発現を高め,炎症部位への好酸球浸潤を促進することがわかった.また,MIFはIL-4またはIL-13と共に線維芽細胞に作用し,eotaxinの発現と産生を誘導すると考えられ,これには線維芽細胞上のCD74細胞膜受容体を介する経路が関与することが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は当初の計画通り順調に進んだため,初年度の研究成果は2013年に第63回日本アレルギー学会秋季学術大会にて発表することができた.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に加えて今年度の成果も含めた総括的な内容の学会発表を予定している(2014年インターフェロン・サイトカイン学会にて). さらに,論文としてまとめた研究成果の国内外の各種関連雑誌において発表・配信することを目指す.なお,現在国際雑誌に投稿中である.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品の納入が年度区切りで間に合わないため. 進捗状況に影響はない.
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