研究課題/領域番号 |
25860949
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
寺石 美香 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (40437736)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 乾癬モデルマウス / 抗IL-6R抗体 / ヒドロクロロキン |
研究概要 |
乾癬モデルマウス(K5.Stat3Cマウス)に生じる乾癬様皮疹に対して治療効果をもつ薬剤を見出すべく、入手可能であった抗IL-6R抗体およびヒドロクロロキンに関して検討を行った。 まず、抗IL-6R抗体を用いた検討では、K5.Stat3Cマウスに抗IL-6R抗体、抗IL-12/23p40抗体、コントロールIgGを腹腔内投与し、3.4 nmole TPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate) を塗布して乾癬様皮疹を誘導後、TPA塗布部位皮膚の採取を行った。病理組織学的な変化、real-time PCRによるIL-17A、IL-17F、IL-22、IL-23、β-defensin、S100A8、S100A9など、乾癬様皮疹で高発現する遺伝子の測定において、乾癬様皮疹形成を抑制していることを示す抗IL-12/23p40抗体群の結果に対し、抗IL-6R抗体投与群はコントロールIgG投与群といずれの項目においても有意差を認めなかった。抗IL-6R抗体の投与量を増量して行った検討でも同様の結果であり、抗IL-6R抗体に乾癬様皮疹形成に対する抑制効果を見出せなかった。 次に、同じ乾癬モデルマウスに、ヒドロクロロキン、PBSを腹腔内投与し、TPA塗布による乾癬様皮疹の誘導後、塗布部皮膚片の採取を行った。病理組織学的にはヒドロクロロキン投与群において皮膚の厚さはコントロール群に比べてやや薄い傾向であったが明らかな有意差はなく、real-time PCRによるIL-17A、IL-17F、IL-22、β-defensin3、S100A8 遺伝子発現の検討でも、コントロール群と有意差を認めず、乾癬様皮疹形成に対する抑制効果を明らかにはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
投与方法および解析方法に関しては、その手順や検討項目の内容について、ほぼ確立することができたと言える。現在検討が終了した抗IL-6抗体、ヒドロクロロキンは、ヒト乾癬においても臨床効果が認められておらず、本研究のマウスモデルにおいて再現性が得られたことを示す結果であった。しかし一方で投与する様々な分子標的薬に関しては、効果判定を行うための必要量を入手することが困難であることが多く、臨床効果に期待が持てる分子標的薬を特定することが未だ出来ていない。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していたJAK阻害薬やEGFRなどのシグナル阻害剤の入手に努める。また、抗体を用いたTOLL様受容体(TLR)シグナル遮断の影響も検討予定である。病理組織学的、遺伝子発現において効果を認める薬剤に関しては、速やかに臓器障害の有無、免疫学的な変動、代謝・排泄に関しての検討へと進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度では、マウスの管理、病理組織標本作製やreal-time PCRに用いたプラスチック器具や各種試薬などの物品費が主体となった他、情報収集のための学会参加は国内のみであり、使用経費が抑えられたことが理由として挙げられる。 引き続きマウスの管理や測定等における物品費にあてる他、検討を行う分子標的薬の購入に多くの経費が必要となる。また、得られた成果の発表や情報収集のために、国内外での報告を行うための旅費、論文投稿時の費用に使用する予定である。
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