研究概要 |
皮膚悪性黒色腫は発育の過程で周囲の免疫系に様々な影響を与えると考えられる。逆に樹状細胞は免疫をつかさどる抗原提示細胞であり、腫瘍の進展に大きな影響を与える。本研究では皮膚悪性黒色腫局所の微小環境が樹状細胞の機能に与える影響の経時的な解析を行った。 方法としてはB16マウス悪性黒色腫をマトリゲルに溶かしてマウス皮膚に接種し、腫瘍浸潤樹状細胞(CD11c+, MHC classII+)の活性化及び免疫抑制性表面蛋白の発現を経時的解析した。さらに、腫瘍接種後早期(4日後)と晩期(11日後)の樹状細胞を磁気ビーズを用いて分離し、機能の解析を行った。 早期の腫瘍浸潤樹状細胞はVEGFR-2, PD-L1などの免疫抑制性の表面蛋白を高発現しており、腫瘍発育に従ってその発現は低下した。アロT細胞と共培養を行い、アロT細胞刺激能を解析したところ、腫瘍発育に従いアロT細胞刺激能は増強した。 以上より、腫瘍浸潤樹状細胞は、腫瘍発育と共にT細胞刺激能が増強する可能性が示唆された。
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