色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum、以下XP)は本邦での頻度は稀ではあるが、光線過敏症の患者が来院した際には鑑別疾患の一つとして見逃してはならない重篤な疾患である。しかし、従来の方法による相補性試験は迅速性、簡便性、さらに感度に問題があり、確定診断に至らない例が存在しているのが現状である。今回、我々はDNA修復を研究している基礎研究教室と連携し、エチニルウラシル化合物の取り込みと直接蛍光標識法を取り入れた高感度アッセイを用いてUDS(不定期DNA合成能、unsheduled DNA synthesis:UDS)およびRNA合成能(RNA合成回復能、recovery of RNA synthesis:RRS)を測定し、XP遺伝子発現ベクターをプラスミドからレンチウイルスに変えトランスフェクション効率を飛躍的にあげることにより、XPの亜型診断を迅速に行った。 光線過敏をきたし、XPを疑った症例17例について、下記解析を行った。1.患者の皮膚生検を試行し、線維芽細胞を培養する。2.UDSを測定し、XPの診断を行う。UDS以外にRRSも測定する。3.XPA~XPGまでのコーティンク領域を組み込んだレンチウイルスを感染させ、相補を調べ、群を決定する。4.候補遺伝子のDNAシークエンスを行い、XPの遺伝子診断を確定する。 上記解析の結果、色素性乾皮症F群3例、色素性乾皮症A群1例、色素性乾皮症バリアント4例の診断および亜型診断をつけることができた。残り9例はXPとは診断できなかった。 XPにおいては、バリアントも含め、迅速に診断確定を行う事ができ他たと考える。診断未確定例にはUDS、RRSが正常であっても、DNA損傷修復に関与する分子の軽微な機能低下が関与している可能性があるのではないかと考えられるため、今後は、これらについても検討していきたい。
|