HDAC阻害剤がケロイド細胞に及ぼす遺伝子発現の変動を検討した。HDAC阻害剤としてTrichostatin A (TSA)を選択し、マイクロアレイで解析した。その結果、正常真皮線維芽細胞と比較しWnt3Aなどがケロイド特異的に変動していた。さらに遺伝子カスケード解析で、上流にCREBBP/p300などが関与した可能性を見出した。一方、細胞外マトリックスを中心にRT-PCRで遺伝子発現を検討し、TSA投与後COL1A2やVersicanなどが低下し、MMP3が増加することを見出した。以上より、TSAはケロイドの発生抑制をもたらす可能性が示唆されたが、詳細なメカニズム解明が望まれる。
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