研究実績の概要 |
全身性強皮症患者の病変部皮膚組織より抽出したタンパク質でELISA Arrayの実験を行い、その結果より、免疫抑制療法前後で比較し、治療前に高発現し、治療後に低下しているタンパク質に注目した。その理由としては、ELISArrayにて免疫抑制療法による有意な変化が確認されたサイトカインは免疫抑制療法の作用機序に深く関与していると考えられる。 その中で、CD70, IL-16, CNTFを選択し、実験を進めた。 全身性強皮症の皮膚組織を用いた免疫染色でCD70-CD27は全身性強皮症の皮膚で高発現しており、軽症例と比較し重症例に、より高発現していた。さらに血清中でも同様に、軽症例と比較し重症例に、よりsCD27が高発現していることが明らかとなった。 本年後、CNTFの病変部皮膚および血清での発現を検討する予定である。 さらに、免疫抑制療法が有効であった症例については、サイトカインの変化が全身性強皮症の病態形成に重要な役割を担っている可能性がある。全身性強皮症患者由来の皮膚線維芽細胞の培養を行い、サイトカインやmicroRNAを添加もしくは阻害し、コラーゲンを中心に細胞外マトリックス蛋白の発現の変化を検討する。これにより、in vitroで各サイトカインやmicroRNAが細胞の動態においてどのような役割を有しているかを調べ、皮膚硬化、線維化により特異的に作用する有効な治療法の開発を目指したい。
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