全身性強皮症における免疫抑制療法の作用機序の検討

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25860955
• 研究機関: 熊本大学
• 研究代表者: 牧野 貴充 熊本大学, その他の研究科, 講師 (20433039)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 全身性強皮症 / サイトカイン / リンパ球

研究実績の概要

全身性強皮症患者の病変部皮膚組織より抽出したタンパク質でELISA Arrayの実験を行い、その結果より免疫抑制療法前後で比較し、治療前に高発現し、治療後に低下しているタンパク質に注目した。その理由としては、ELISA Arrayにて免疫抑制療法による有意な変化が確認されたサイトカインは免疫抑制療法の作用機序に深く関与していると考えられる。
その中で、CD70, IL-16, CNTFを選択し、実験を進めた。
全身性強皮症の皮膚組織を用いた免疫染色ではCD70-CD27、IL-16は全身性強皮症の皮膚で高発現しており、軽症例と比較し重症例に、より高発現していた。さらに血清中でも同様に軽症例と比較し重症例において、sCD27、IL-16が高発現していることが明らかとなった。以上の結果より、免疫抑制療法が有効であった症例についてはIL-16の高発現やCD70-CD27シグナリングを介した、Tリンパ球の活性化が全身性強皮症の病態形成に重要な役割を担っていると示唆された。さらには将来的にIL-16やCD70-CD27シグナリングが新たな治療ターゲットとなる可能性がある。

研究成果

• [雑誌論文] Serum concentrations of Flt-3 ligand in rheumatic diseases. (2015)
  • 著者名/発表者名: Nakamura K, Nakatsuka N, Jinnin M, Makino T, Kajihara I, Makino K, Honda N, Inoue K, Fukushima S, Ihn H.
  • 雑誌名: Biosci Trends. 巻: 9 ページ: 342-9
  • DOI: 10.5582/bst.2015.01121.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Enhanced CCR9 expression levels in psoriatic skin are associated with poor clinical outcome to infliximab treatment. (2015)
  • 著者名/発表者名: Koga A, Kajihara I, Yamada S, Makino K, Ichihara A, Aoi J, Makino T, Fukushima S, Jinnin M, Ihn H.
  • 雑誌名: J Dermatol. 巻: 43 ページ: 522-5
  • DOI: 10.1111/1346-8138.13178.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] EBI3 Downregulation Contributes to Type I Collagen Overexpression in Scleroderma Skin. (2015)
  • 著者名/発表者名: Kudo H, Wang Z, Jinnin M, Nakayama W, Inoue K, Honda N, Nakashima T, Kajihara I, Makino K, Makino T, Fukushima S, Ihn H.
  • 雑誌名: J Immunol. 巻: 195 ページ: 3565-73
  • DOI: 10.4049/jimmunol.1402362.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Mice overexpressing integrin αv in fibroblasts exhibit dermal thinning of the skin. (2015)
  • 著者名/発表者名: Wang Z, Jinnin M, Kobayashi Y, Kudo H, Inoue K, Nakayama W, Honda N, Makino K, Kajihara I, Makino T, Fukushima S, Inagaki Y, Ihn H.
  • 雑誌名: J Dermatol Sci. 巻: 79 ページ: 268-78
  • DOI: 10.1016/j.jdermsci.2015.06.008.
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [学会発表] Increased CD27 expression in the skin and sera of the patients with systemic sclerosis. (2016)
  • 著者名/発表者名: Takamitsu Makino, Masatoshi Jinnin, Miri Nakayama, Satoshi Fukushima, Shinichi Masuguchi, Hironobu Ihn
  • 学会等名: 4th Systemic Sclerosis World Congress
  • 発表場所: Lisbon, Portugal
  • 年月日: 2016-02-18 – 2016-02-20
  • 国際学会
• [学会発表] 限局性強皮症における血清および皮膚組織中miR-196aの発現低下とⅠ型コラーゲン蛋白合成の関連 (2015)
  • 著者名/発表者名: 牧野貴充、神人正寿、江藤光彦、山根惠太郎、梶原一亨、牧野雄成、福島 聡、尹 浩信
  • 学会等名: 第47回日本結合組織学会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2015-05-15 – 2015-05-16