研究課題
若手研究(B)
発症機序は充分に解明されておらず、重症度や病態を反映する疾患マーカーのない皮膚疾患である尋常性乾癬において、皮膚組織および血清、毛髪のmicroRNA 濃度を測定し、発症に関連するmicroRNA を同定、また疾患マーカーへの可能性を調べた。その結果、尋常性乾癬の皮膚および血清、毛髪ではいくつかのmiRNAが尋常性乾癬に特異的に発現増加または低下しており、診断マーカーへの可能性を示した。以前、尋常性乾癬の病変部においてmiR-424 が MEK1 とcyclin E1 の発現を制御し、加えてMEK1 やcyclin E1 がケラチノサイトの増殖を調節していることが示したが、毛髪においてもmiR-424 が増加していることが分かった。しかし毛髪のmiR-424 は尋常性乾癬の病勢とは相関がなかった。また毛髪のmiR-19aも尋常性乾癬において特異的に増加しており、発症から初診までの期間と逆相関していた。また乾癬のコントロールとして調べた重症薬疹についても、発現しているmiRNAを検索した。中毒性表皮壊死症では、miR-18a-5pによってapoptosis抑制因子であるBCL2L10が減少し、表皮角化細胞のintrinsic apoptosisが生じやすくなると考えられた。また血清のmiR-18a-5p濃度は中毒性表皮壊死症の紅斑やびらんの面積と相関し、重症化のマーカーとなりえることを示した。
2: おおむね順調に進展している
乾癬や薬疹の皮膚、血清、毛髪のmiRNAの検出は進んでいる。疾患マーカーになるかどうかについてはサンプルを増やし、多面的な検討がまだ必要である。
同定されたmiRNA については、乾癬の重症度の指標となっているPsoriasis Area Severity Index(PASI) score、病変部の面積であるbody surface area (BSA)などの臨床所見や好中球、CRPなどの検査データとの相関、皮膚組織、血清、毛髪などの各種サンプル間での差の検討、また尋常性乾癬の5つのタイプ(尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎)別のmiRNA の発現の差の検討を行う。それらの結果をもとに、疾患マーカーとして実用化可能であるか模索する予定である。また重症薬疹についても、重症化する過程、ステージ別にmiRNAの検索を行う必要がある。
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