研究実績の概要 |
毛包は皮膚発生と毛周期に必要な前駆体を提供する幹細胞/前駆細胞を有する。正常の毛周期にはWnt, BMP, shh, そしてTGF-bに帰属する幾つかのシグナル分子群が関与している。しかしながら、どのようにしてこれらの液性因子が制御されているのか未解明な点が多い。我々はこれらの液性因子と相互作用する分子として新規分泌型蛋白質Tsukushiを発見した。先行研究により申請者はTsukushiが形態発生及び毛周期において毛包の限局した領域に発現することを見出しTGF-b 1シグナリングを調節することで毛周期を制御していることを明らかにした。さらには損傷皮膚組織中の再生毛包領域にTsukushiが強く発現していたことから、Tsukushiが毛髪の再生において重要な働きを担っているのではないかと考えた。本申請は毛髪の発生・再生時におけるTsukushiの機能を明らかにし、将来の毛髪再生医療に役立つ分子メカニズムを解明することを目的とする。 平成27年度に施行した実験とその実績は以下の通りである。 平成27年度は、主に① TSK KOマウスにおいて、創傷治癒後の毛包再生時にTsukushiタンパクを皮内注射し、変化がおこるかを検討した。 結果、コントロールと比較し、毛包再生速度や数に変化は認めなかった。このことは、Tsukushiの毛包再生時の役割は、TGF-βやWntといったシグナル伝達分子の補助的作用であるといえる。
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