研究課題
若手研究(B)
本研究課題では、次世代シークエンサーを用いた網羅的解析により、①NACC1標的がん関連遺伝子の特定(STEP1: トランスクリプトーム解析)、②個々のNACC1標的遺伝子の発現に関する他の多能性維持関連転写因との相互関係(交絡)(STEP2: ChIP sequence解析)を決定し、NACC1の多能性維持関連転写因子ネットワークでの役割を明らかにした上で(達成目標)、③がん幹細胞あるいはiPS細胞でのネットワーク存在の検証(STEP3:努力目標)を行い、がんのドーマントセラピー開発の糸口を見出す。平成25年度はSTEPの検出系細胞を作成しトランスクリプトーム解析を行った。Tet-OFF systemではエストロゲンレセプターの下流で変動する分子群の発現抑制がみられた。このことはNACC1がエストロゲンレスポンスエレメント ERE:AGGTCAnnnTGACCTに作用する可能性を考慮して、ChIP assayを行った。ChIPではNACC1-Flag tagでpull downした蛋白質群にER蛋白が検出された。現段階では他の多能性関連転写因子とERとの関係は不明であるが、質量分析(MS/MS)によるTapassayの蛋白の同定への準備を開始した。ERとの結合は、乳癌細胞ばかりでなく悪性黒色腫でも確認され、黒色腫に対するタモキシフェン療法の有効性メカニズムの解明につながると考えられた。STEP1の他の下流分子の候補にはheat shock関連蛋白質があり、ER経路の研究が終了次第解析に着手したい。
2: おおむね順調に進展している
transcriptome解析も終了し、ERとの結合も確認できた。腫瘍細胞の生物学的特性に係る新規経路の同定につながった考える。
他の多能性関連転写因子との相互作用について解析を行いNACC1発現の腫瘍生物学的意義について明らかにする。特にcancer stem cellのようなspheroid形成能、造腫瘍性の検討と合わせて解析していく。
STEP1の研究内容で、NACC1とエストロゲンレセプターとの関連が示唆され、他の転写因子との交絡研究に優先して両者の結合解析を行った。他の多能性転写因子のvector作成を次年度に持ち越した。年度同所からSTEP2交絡解析に係るベクター作成を行い、transcriptomeおよび結合解析を行い予算を消化する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件)
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