研究課題/領域番号 |
25860969
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 宗成 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20408371)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 人工多能性幹細胞 / 悪性黒色腫 / 養子免疫療法 |
研究概要 |
本研究における平成25年度内の計画実績について示す。 1. 症例における悪性黒色腫(Malignant Melanoma:MM)特異抗原の確認とサンプルの採取:現在、原発巣でMM特異的抗原(NY-ESO-1)の発現が確認されている患者2名がエントリーしている。うち1名で、NY-ESO-1ペプチドの刺激による末梢血単核球の増速がみられ、MM抗原特異的細胞傷害性T細胞の分離が期待されたため、主にこの患者から末梢血の提供を頂き研究を進めている。またさらなる患者エントリーを検討している。 2. 末梢血からのMM抗原特異的な細胞傷害性T細胞の分離培養:当初は、NY-ESO-1ペプチドによる刺激により活性化したMM抗原特異的細胞傷害性T細胞を、CD8およびCD137が陽性であることを指標に分離する方法を計画していた。しかし残念ながら目的としている細胞集団の数が少なく、マグネットビーズによる方法での分離は困難であった。また代替案として計画していたCell sorterによる分離も、同様の理由で困難であり、分離できたとしてもごく少数でsortingによるダメージも大きく、その後の培養、iPSCの樹立に向かないことがわかった。そのため試行錯誤の上、ペプチド刺激を行った後にCD8陽性細胞をマグネットビーズで分離し、IL2存在下で培養を行い、コロニーを形成して来たクローンを徒手的に回収する方法を試みている。これにより非常に少ないながら、確実にペプチド刺激により活性化・増殖しているCD8陽性細胞のクローンを得ることに成功している。得られたクローンは現在、iPSC樹立に必要な細胞数を獲得するために培養中であるが、ひとつのクローンを培養・増殖する技術が充分でないことから、この点について検討中である。 3. 細胞傷害性T細胞からのiPSCの樹立と、樹立したiPSCの妥当性の検証:2で得られた一部のT細胞クローンよりセンダイウイルスベクターを用いてiPSCの樹立を試みているが、まだ成果は得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、患者末梢血からMM抗原特異的細胞傷害性T細胞を分離するために、CD8およびCD137を指標としてマグネットビーズを使って分離する方法、さらに代替案としてCell sorterを使って分離する方法を考えていたが、研究を進めていく過程でそれらの方法がいくつかの理由(目的の分画があまりに少ないこと、Sortingで分離した細胞の活きが悪いこと、など)により困難であることが判明した。 そのため試行錯誤を繰り返し、ペプチド刺激を行った後にCD8陽性細胞をマグネットビーズで分離し、IL2存在下で培養を行い、コロニーを形成して来たクローンを徒手的に回収する方法にたどり着き、問題解決の糸口を得たが、計画よりもかなり時間を要した。 現在、この方法によりMM抗原特異的細胞傷害性T細胞を数クローン分離し、培養しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
現在は得られたMM抗原特異的細胞傷害性T細胞をクローン別に培養している。ひとつのT細胞クローンから細胞を大量に培養するのは困難であるが、様々な検討を行い、培養条件はほぼ確定している。今後、これらのT細胞が十分量に増殖されたら、当初の計画通り、センダイウイルスベクターを用いてiPSCの樹立を行い、樹立されたiPSCから細胞傷害性T細胞の再分化実験を行っていきたいと考えている。
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