本研究では、悪性黒色腫(以下MM)に対する有効な免疫療法を、人工多能性幹細胞(以下iPSC)を用いて確立することを目指した。MM患者から腫瘍抗原特異的細胞傷害性T細胞を分離培養し、そのT細胞からiPSCを樹立することに成功し、その妥当性を検証した。樹立されたiPSCでは、元のT細胞受容体の遺伝子情報が保持されているため、そこから腫瘍傷害性を持ったT細胞を大量に安定供給できる可能性が示された。今後は樹立したiPSCを細胞傷害性T細胞に再度分化誘導させ、実際にその腫瘍傷害性の検討を進めていく予定である。
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